幕間の楓恒㊿ くあ、と大きく欠伸をして丹恒は大きな布団の中で小さな手足を動かして大好きな温もりを探す。自分よりも僅かにひんやりとしている肌に触れた時の安心感を思い出しながら、手を動かしていると求めていた熱を見つけ、そっと胸元へ顔を埋めようとしたところで自分ではない何かが定位置にいることに気づきピタッと体の動きを止めた。
「ふ、ふーに…?」
ぴょこんっと布団の中から抜け出した丹恒が見たのは自分と同じような髪質でどことなく自分と同じ面影のある、けれど特徴的な角も尾もない、髪も短い自分と同じくらいの年齢の知らない誰かだった。
「…、…?」
「…!」
いつもの丹恒の定位置。丹楓の胸の中で眠っていたその誰かがゆるゆると瞼を押し上げる。丹楓よりも先に彼が目を覚ましてしまったことに丹恒は慌てながら近くにあった昔丹楓からもらった大きな蒼龍のぬいぐるみへ手を伸ばしその影に隠れようとする。
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