少しくらいカメラのフラッシュが瞬き、シルエットが浮かび上がる。照らされ影を落とした大きな手が、女性の腰を支え鋭い視線をこちらに向けていた。女性が含みのある笑みを浮かべ差し伸べた指に口づけるように手を取ると、交わった視線から物語が生まれる。そしてそれに飲み込まれていく。
「…はい、オッケー!チェックするんでお待ち下さーい!」
スタジオに響き渡った声に物語は唐突に終わりを迎えた。お疲れ様でした!と笑う表情に先程の面影はない。女性もまた表情を変え優しく笑い、お互いを労る談笑が始まった。
確認しますか?という声にデータを取り込んだ液晶を覗き込む。
あぁ。本当に。
「かっこよかったなぁ…」
酒を飲みきったグラスを机に置きながらプロデューサーはしみじみと呟いた。
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