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    chiepu

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    chiepu

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    本編終了後にポップ・マァム・メルルが3人で旅していた時のお話
    ぽぷまつり4に寄せて書かせていただきました

    長い黒髪が美しい少女はため息をつく。
    目の前で言い争っている、黄色いバンダナの少年と桃色の髪の少女が原因だ。

    「だからおめーはよ!!」
    「なによ!お前って言わないでよ!!」

    三人で旅を始めて、かれこれ半年くらいだろうか。
    三人は、この世界を守るために行方不明になってしまった勇者を求めて、旅を続けている。
    この三人は、黒髪の少女はバンダナの少年を慕い、バンダナの少年は桃色の髪の少女を慕い、桃色の髪の少女は自分の気持ちに整理をつけられていない。
    俗に言う、三角関係というやつである。
    そして、バンダナの少年と桃色の髪の少女は頻繁に言い争いをして、黒髪の少女を困らせるのである。

    「ポップさん、マァムさん、今度はどうしたんですか?」
    「ちょっと聞いてよ、メルル!!」

    言外に面倒臭さを漂わせつつも、根は人のいい少女は、仲裁をせねばなるまいと事情聴取をはじめる。
    ふたりの諍いは、ある日は左右どちらの道を選ぶか、ある日は今日の夕食に何を食べるか、どっちが先に街に足を踏み入れるか……などなど日常の瑣末な事柄で溢れている。
    しかも自分が優先されるべきだと主張するのではなく、双方が共に相手を優先し、その結果意見が対立して諍いに発展するのであるから、タチが悪い。

    いつものようにふたりが言い合いをしていたのだが

    「おめぇなぁ!」
    「お前って言わないで!ちゃんとマァムって呼んで!!」

    いつもと雲行きが違うようだ。

    「なんでメルルはちゃんと名前で呼ぶのに、わたしはいつもお前なのよ!?」
    「え……あ……………ま…………」

    そういえば、以前はちゃんと名前で呼んでたのに最近は代名詞が多かったな……などと呑気に思考を飛ばしているものの、彼女は自分の恋が終わりを告げている徴を受け取ってしまった。

    切ないけど、わたしが好きになったポップさんは、マァムさんが好きで、マァムさんや仲間のために頑張れる人でしたね。
    ポップさんはやっぱりこうでなきゃ!

    「あの……マ……………」
    「ポップさん!勇気の使徒らしいところ見せなきゃ、格好がつかないですよ!」

    言い淀んでいる少年にハッパをかけ、背中を押してふたりを向かい合わせにさせると

    「じゃ、わたしは少し席を外しますんで、あとは若い二人でどうぞ!」

    黒髪の少女はうるみはじめた瞳を瞬きで誤魔化しながら、その場を後にする。
    華奢ながらも世界一の大魔道士の危機を救い、大魔王を倒す一助になった女傑である少女は

    「あの……マァム……」
    「はい……」

    という甘い会話を背に受けて、前を向いて歩き出す。
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    逝き去りし貴男へ貴男へ

    貴男に手紙を書くのは初めてですね。
    あの頃は手紙を書くのも届けるのも一苦労。
    便箋なんて中々売っていないし、書けたとしても送る手段が限られ相手のいる近くに行く用がある、信頼できる商人や旅人に託すしかない。
    その上長旅の途中で紛失したり商売の都合で渡すタイミングが遅れたり、返事は期待しない方が精神衛生上良い位。

    手紙に花言葉のような惹句をつけるとすれば「不確実」でしょうか。
    それでも人は手紙を書くのです。
    相手の為より自分の為に。

    そもそも貴男の場合長い間宛先、というか住処が分からなかったですし。
    私も修業の為に世界中を旅していましたからもし貴男が私に手紙を書いたとしても届けようが無かったと思えば…あぁ貴男は鏡にメッセージを書けましたね。
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