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    chiepu

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    chiepu

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    ダイくんが生きてることを伝えるのは、やっぱりあの子しかいないよね
    そしてあの子が現れるなら……という連想から思いついたお話です

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #魔界編
    #ヒム
    hymn

    兆し「今日はスパイスになる木の実と、野草を探しにいくぞ!」

     そういって隊長さんがおにこぞう2ひきを連れて出かけたのは、朝メシを食ってすぐのことだった。
     さほど広くはないデルムリン島だが、何かを探しながら回るとなるとそれなりに時間がかかる。だから昼メシどきに現れなかった隊長さんのことを、誰も心配はしていなかった。
     オヤツどきになっても隊長さんはもどってこず、異変を感じたブラス老がパピィとバタコに空からの捜索を依頼した。隊長さんならオヤツを逃すはずがないとはマリべぇの談だが、その場にいた全員が納得していたし、かくいうオレも同意見だ。

     パピィとバタコが帰ってきて、隊長さんが空から見える場所にはいないことが確定した。
     こうなると、隊長さんがいるであろう場所は、あのパプニカの姫さんが試練を受けたっていう洞窟くらいだ。

    「しゃーねぇ隊長さんだな、オレが迎えに行ってくるわ」

     ブラス老に薬草と、念のためにどくけし草も持たされたが、この島の奴らは毒を持つやつはいなかったはずだし、毒の沼なんていう剣呑な場所の話も聞いたことがない。心配性なじいさんだな。けど、そんな思いやりが心地いいってことに最近のオレは気づいてるから、何も言わずに受け取った。

     洞窟の入り口までは、15分も歩けばたどり着く。遊撃隊の仲間たちはみんなついてこようとしたが、ブラス老が止めてくれたおかげでかなり身軽なオレは、サクサクと洞窟に足を踏み入れた。
     洞窟の中はひんやりしてるらしいが、生憎オレにはその感覚がわからない。

    「隊長さーん」

     さーんさーんさーん……
     反響して音がぶつかり合う。返事はない。
     オレは足を進めて、姫さんが儀式を行ったという祭壇を目指した。

     そこはオレでもわかるくらい神聖な空気に満ちていて、こんなところに毒サソリを持ち込んだってヤツはボンクラだ。
     このあたりはいい感じの湿り気と、祭壇から放たれる淡い光でうまいキノコがよく育つから、隊長さんがよく来るスポットのひとつだ。しかし、隊長さんはこのあたりにはいなかった。

    「もしかして……」

     ブラス老が言うには、ダイのやろうと姫さんが落とされた穴ってのがあるらしい。足を滑らせてそこに落ちてるのかもしれねぇ。
     あらかじめ場所は聞いていたから、すぐにたどりついた。穴に降りてみると、案の定そこにいた。
     周囲を警戒しても敵らしき気配はないのに、なぜか倒れてる隊長さんと、ワタワタと慌てるおにこぞうたち。

    「おい、お前ら」
    「「はいいいいぃぃぃぃ!!」」

     こいつらはオレの実力を「わかっている」らしく、話しかけるとこうやってビビる。

    「まず、隊長さんが倒れてる理由、それからなんで穴から上がってこなかった。お前らなら隊長さん抱えてでも上がってこれるだろう?」

     こんな小さいなりでも、元は魔界のモンスターだ。隊長さん一人抱えて穴を登るくらいは、なんてことないはずだ。
     そもそも隊長さんだって、気を失ってさえいなければこんな穴を登るくらいワケはない。

    「あの……それが…………」

     おにこぞうたちの話によると、隊長さんは「ゴメちゃんだ!」と叫んで急に駆け出したらしい。そして追い付いた先がこの穴だったらしい。

    「隊長さんは虚空にむけて、また会える日を楽しみにしてるよ、といってそのまま倒れちまったんんです」
    「オレたち急に隊長さんが倒れたもんだから慌ててしまって、そこにヒムちゃん……が来たんですよ」

     こいつら、ビビってるくせに「ヒムちゃん」なんだよなぁ。口を濁すくらいなら“さん”にすりゃいいのに。

    「ン……ううん…………」
    「隊長さん!」

     話をしていたら、隊長さんが目を覚ましたらしい。

    「おや?ヒムちゃん、なんでここにいるんだ?」

     そういって起き上がりはしたが、立ち上がれない。まだ少し意識がはっきりしないらしいので仕方なくおぶってやり、ブラス老の小屋へ足を向ける」

    「ゴメちゃんが来たんだよ。ボクにダイくんのことを教えてくれてね。」

     どうやら、例のゴールデンメタルスライムが隊長さんの前に現れて、勇者が助けを求めていると伝えてきたらしい。そんなまさか、とも思うが相手は伝説の『神の涙』だ、何があってもおかしくはねぇ。
     ただ、尋常ならざる手段で伝えにきたせいで、隊長さんの精気が持っていかれたようだ。

     ああ、これから忙しくなりそうだ。まずはパプニカの姫さんのところに、急いで遣いをおくらなきゃならねぇ。姫さんに伝えたら、あの使途たちにはすぐに伝わるだろうさ。
     それとも先代の獣王に頼んで、ロモスまでガルーダでひとっ飛びしてもらうのが早いか。
     何にしてもおもしろくなってきやがったぜ。勇者は魔界にいる……か。
     なんとしても、オレもいかなきゃならねぇ。それがハドラー様の遺志にも繋がるだろうさ。
     なんだか、武者震いしてきやがったぜ。
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