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    ringontouARAI

    @ringontouARAIほぼ占納しか描かん。

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    ringontouARAI

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    那智さんの書いてた探納ちゃんをアライ的解釈で書かせていただきました🙏💦解釈違いでしたらすみません!!
    ノト君の性格を悪く書いてしまい申し訳ない😭

    その部屋に入った瞬間妙な違和感に襲われた。
    廊下も真っ暗な上にリビングも電気が付いていない。しかしそれはノートンがこの家へ寝に帰るような生活になってから就職したらしい彼の残業日に稀にある事だった。
    だから特には気にせずにリビングの電気をつけて、そしてやっぱり何処か違和感。でもいつも家にいる彼がいなければこの家の変化にノートンが気がつけるはずもなかった。

    彼、イソップ・カール。
    男。
    男で初めて好きになった人。

    出会ったときイソップはまだ学生で、ノートンの家の近くのコンビニでアルバイトをしながら越してきたこの土地で賃貸を借りて一人暮らしをしていた。
    バイト中のイソップに一目惚れをして、毎日通ってやっと接客の定型文以外の言葉を交わすようになって、そして連絡先をゲットしてからは割ととんとん拍子にお付き合い出来た。彼は話してみると案外饒舌だ。
    苦学生のようだったから賃貸を辞めて家に来れば良いと言って、上手いこと彼と同棲を始めた。
    男を恋愛対象としたのは初めてだったけれど、それでも楽しい日々だった。いや、むしろ男同士だったのが良かったのかもしれない。男女間では気を使う部分も同性だからかあまり気にすることもないし。
    彼の前だけで素の自分でいられる様な気がした。とてもとても、大切な人だった。


    ■■■


    とにかくシャワーを浴びようと浴室へ向かうと、磨りガラスの扉越しに浴室が光っているのが見えた。
    何事かと中を覗くと、光源はどうやら浴槽の中だった。いつもならイソップ は浴槽に浸かったら水を抜いて中を磨いておいてくれるのだが、その光源の元はしっかりと水が溜まっている。
    そしてその中央で、ユラユラと揺れるイソップ のスマホ。
    誰かから連絡でもきているのかバイブ音と共に光って、暫くしたら真っ暗な画面になった。

    途端にノートンは足元がガラガラと崩れていくような、そんなどうしようもない不安感に襲われる。

    あぁ、ダメだ。考えるな。脳が一気に深いところまで落ちていくのを感じて、ノートンはそのスマホを浴槽から拾い上げると洗面台にカツンと投げた。


    2人がすれ違うようになったのはいつからだっただろうか。まずはノートンの昇進が決まった。それもなんと異例の2回級ほど階級が上がって、その日はイソップがご馳走を作ってくれた。しかし喜んだのも束の間だった。
    ノートンは昇進したことによって仕事量が尋常じゃなく増えたのだ。残業も早朝出勤も当たり前になってしまい、イソップともろくに顔を合わせない日だってあった。
    そして間が悪いことにイソップもこの時は卒研で忙しく、完全にノートンとすれ違いが起きていたのだ。
    ノートンはこの時まで知らなかったが、極度にストレスを感じると自分の中に暴力的なにかが生まれる時があった。
    久しぶりに会ったイソップにも嬉しいと思うどころか、どこか煩わしささえ感じていた。
    一度イソップに話しかけられたときに思いっきり不機嫌な声を出してしまい、それにショックを受けたイソップを泣かせてしまったことがあった。その時はなんとか宥めて仲直りをしたのだが、やはりその後もイライラしてしまい、さらに少しした時に軽い口論が有りカッとなって衝動的に犯してしまった。
    流石に居た堪れなかった。
    そして嫌だ、止めて、ごめんなさい、と泣くその顔が、堪らなく愛おしいと感じた時、とうとうノートンは自分が正気でないと悟った。
    これ以上一緒にいるともっと酷い方法でイソップを傷つけるだろう。わかっていた。
    だが、ノートンは手放してやることも出来なかった。
    彼を失ったら本格的に自分が何をしでかすかわからなかったのだ。

    だからイソップにこれ以上ストレスをぶつけない様、代わりに外で性欲を発散してくる事にした。
    遊びだけの女を何人か作って耐えられない時は女とホテルに行ってそのまま出社。でもイソップはそういうのにも敏感だった。
    1ヶ月ほどそんな生活を続けて久しぶりに家へ帰ったノートン。この頃はまだ子犬みたいに小走りで出迎えてくれたイソップ。でもそんなイソップにまたなにか嫌味や怒鳴り声をぶつけそうな自分がいて、なんとか彼の顔をみないようにして適当に応対しながら上着を渡して、彼のいる部屋の扉を素早く閉める。でも一瞬見てしまった、上着を持ったまま凍りついた顔。
    そして思い出すのは昨夜一緒だった女の纏った人工的な甘い匂い。
    この辺りはほとんど泣かせてばかりだった。

    コンビニで初めて見かけた時から触りたくて堪らなかったはずの色素の薄くて少し跳ね癖のついた髪。
    初めて彼を抱いたときに思いっきり撫でたら思いの外柔らかくて、昔飼っていた毛の長い猫の様な感触で好きだと伝えたら、じゃあ伸ばすと言ってくれたイソップ。
    その日は久しぶりに機嫌がよくてイソップとセックスをしていたとき、なんだか彼の反応がおかしかった。今考えてみれば彼の方が気分じゃなかったのかもしれない。でもその日はノートンも気がつくことが出来ずに、その日は穏やかだったイラつきがまた戻ってきて、声だけで感じたふりをしているイソップにきつく当たってしまった。

    「萎えるんだけど」

    吐き捨てるように言ったそれは、イソップどころか自分にも返って来る。酷いことを言った自覚があったし、今日はそうならないだろうと久しぶりに彼を誘ったというのに。でも謝ることも出来ないでいると下腹部をグッと押される感覚。

    「ああ、そうですか」

    だからなんだとでも言われている様だった。イソップの骨っぽい足が『じゃあ抜け』とでも言うかのように、ノートンから距離を取ろうと下腹部を蹴る要領でグイと押す。

    ップツンーーーーー

    頭の中で確かに何かが切れる音が響いて、そしてノートンが気付いた時にはベッドから床に落ちて頭を抱えているイソップと、手のひらにぐしゃぐしゃに絡み付いた色素が薄くて細い猫みたいな毛。。。


    ■■■


    イソップがいなくなって最初の3ヶ月までは旅行かな、とか少し実家で羽を伸ばしているんだと言い聞かせてた。
    それを越したら仕事の関係で海外に行っているのかも、とか身内になにかしらトラブルかもしれないとか考えていた。
    そしてイソップ と顔を合わせないまま1年が経った。
    そこでようやっと、そう言えば彼の情報を通っていた学校くらいしか知らないと思い出す。
    そしてそんな学校も既に彼は卒業していて、最後に見た時は私服で仕事に向かう姿だった。

    本当は、彼がここには帰ってこないんだと気がついていた。本当は彼を傷つけないようにしてきたつもりで彼を1番傷つける行為をしてきたのもわかっていた。…わかっていた。
    でも気がついたら、今度こそ本当にイソップが、自分を捨てて出て行ったと認めることになってしまうのが、怖くて。

    初めてイソップの部屋へはいった。
    いや、何度か入ってはいるがまじまじと見たのは初めてだった。
    一見まだイソップが帰ってきそうなほどに変わらない部屋だったが、よくよく考えれば気がついたはずだ。
    あのコートはクリスマスにプレゼントしたもの、机の本はイソップが前から気になっていると言っていたから勝手に買ってきてしまったもの。あのネックレスも腕時計も、クローゼットに仕舞われていた服たちも、イソップが着飾って綺麗になっていくのが楽しくてノートンが買い与えたものだった。
    無いのは彼が自分で持ってきたものや下着類。

    『じゃあ伸ばすよ』

    そう笑ったイソップの顔はまだ幼さが残っていて、でも最後に見た時のなんの色も乗せていない彼の顔を思い出そうとした。
    自分が引っ張って抜いてしまったあの子の髪のように、顔だけグシャグシャとして思い出せない。

    「い…イソップ、、、」

    この名前も、本当に彼のものだっただろうかーーーーー。




    『ーーーおめでとうございます、イソップ・カールさん!』

    日課でつけていたチカチカと光るテレビモニター。映画の音声を聴きやすくするためにわざわざ取り付けた大きなスピーカーから漏れ聞こえたのは、聞き間違えでなければまさしく今自分が呼んだその人だ。

    幻聴か?おかしくなったのか?クラクラする頭をなんとか動かして、縋るようにモニターにしがみつく。
    そこに、大画面。アップで写っていたのは、間違いなくこの一年帰りを待ち侘びた人。
    自分が覚えている彼よりもだいぶ大人びた顔立ちになっていて、…いや、もしかしたら少し痩せたのかもしれない。
    そんな彼が一度も袖を通している場面を見たことのないスーツを纏って、女性の司会者から子供一人分くらいありそうな花束をもらっている。
    なんだこれ、やっぱり、おかしくなったのだろうか。ノートンはそんな不安を覚えつつ今映っている番組がなんなのか確認した。
    番組はどうやら映画関係の輝かしい功績を残した俳優や監督、シナリオライターなどを表彰する祭典を映したものだったらしく、イソップはどうやらその中のヘアメイクの技術で何かしら受賞したようだ。
    人前に出るのが苦手だったはずの彼は、意外にもピッとした良い姿勢で司会者の質問に受け答えしている。

    変わったんだな。

    震えた。
    自分だけが過去の彼にしがみ付いて、そんな中彼はこんなにも輝かしい栄光を浴びるまでに成長して、自分だけがここに残されてしまった。

    はは、なんて乾いた笑いが込み上げてきて、床に崩れた。
    ほとんど帰ってこなかったそこは碌に掃除なんかしてこなかったから埃まみれだ。
    イソップがいた時はノートンが気まぐれに帰ってきてもいつだって綺麗に掃除をしていてくれて、ワイシャツにはアイロン、革靴はピカピカの艶々にしていてくれたというのに。

    そもそも人間としても終わりに近づいているのではないだろうかーーー。

    ふと視線を上げた。
    その先に見えた衣類が積まれたソファ。そしてそこからピョコッとはみ出しているクラウンをモチーフにしてるバックルがついたベルト。丈夫そうだ。
    ふらふらとそれを掴んで引っ張ると、上に積まれたクシャクシャのワイシャツやボトムが床に散らばる。
    構わずにベルトを引き抜き立ち上がり、誘われるがままにリビングのドアのぶを掴むーーーー


    ピンポーン…



    ■■■



    「久しぶり」
    「……ひさ、し、ぶり」

    艶のすっかりなくなった革靴が散乱する玄関。そこに似つかわしくない新品ぽいUチップの革靴が行儀良く並んでいる。
    信じられないことにぼんやり足元を見ていると、細いが関節の太い指がノートンの目前へ迫り、

    「ッいっ‼︎…たぁ」
    「これは、髪の毛引っ張った仕返し」

    突然の額への衝撃に涙目でやっと目の前の人物、イソップ・カールへと視線を合わせる。
    イソップはやっとこちらを見たノートンに柔らかく微笑むと、「赤くなっちゃったね」と俗に言うデコぴんをした箇所を親指でウリウリと撫で付けた。

    やはり自分はとっくに狂っているのかもしれない。
    だってあんなに酷いことをした男の元へと帰ってくる奴があるだろうか。

    だが、目の前にいるイソップはやはり少し成長していて、そして少し痩せていた。
    そういえばイソップはノートンがいない時は食べることをお粗末にすることがあったと思い出す。
    幻覚にしては余りにもリアルに成長している。
    そしてーーーー。

    「か、み…切ったんだ」
    「…そう、今日はその話をしにきた」

    ずっと触ってみたかった、色素の薄くて少し跳ね癖のついた、昔飼っていた毛の長い猫の様な感触のノートンのために伸ばしていた髪が、首よりも上の位置で切りそろえられてワックスか何かで固められている。
    ショックだった。
    女性は失恋すると髪を切るというが、それは男性にも当てはまるだろうか。
    いや、心機一転に切ったとも言えるし、ノートンからのプレゼントを全て置いていったくらいだ、何もかもを忘れるために2人で過ごした時に生えていた髪も切ったと言ったら納得できる。
    震える声で聞いた質問に、イソップは態々その話をしにきたのだと。
    つまり、1年越しの別れ話を。。。


    「僕はなんなの?」
    「…え?」
    「僕は、ノートンのなんなの?」

    唐突なイソップからの質問に、過呼吸を起こしかけた肺からやっとの思いで出した声は相当間抜けに聞こえた。
    それに被せるようにイソップが再び質問しなおす。

    イソップは、ノートンの、何?

    そんなのは、ノートンの方が聞きたかった。
    暴力的なセックスを強要した。
    彼に冷たく当たった。
    外に女を作った。
    暴力を振るった。

    ねえ、イソップは、こんな男、、、


    「好きだよ」

    震えだすノートンへ、イソップの声がポンと落ちる。
    まるで心を見透かされているかのようなーーー

    「好きだよ、ノートン」

    嘘だと、怖くて耳を塞ぐ。しかしその手首を掴み許してくれないイソップ。
    あんなに光輝く場所にいた君が、どうしてまた僕なんか選ぶんだ。
    幸せになんてしてあげられない。
    あの時に手放してやれなかったんだ、今度こそ戻ってきては駄目だ。
    怯えた目でノートンがイソップを見つめる。

    また同じことを繰り返したくなかった。

    「…僕ね、社会人になったんだけど」
    「?なに…」
    「良いから聞いてよ」

    突然にイソップが語り出したのは、社会人になってからどれだけ仕事が大変だったかだ。
    厳しい先輩や理不尽な上司、融通の効かない同僚。

    「休日の無い月が何度あったか…」
    「あの、イソップ…」
    「そこで、僕考えたんだけど」

    イソップの瞳が朝日に反射する雪のようにキラキラと煌めく。
    ノートンが告白した時とおんなじ瞳に、出しかけた言葉を飲み込みつい見惚れる。

    「今度は、僕がノートンを養う」

    すごく良い案だと思う。まるでそう言いたげにキャラキャラと瞬くイソップ。
    イソップよりも十近くも年上の男性に何を言ってるんだと、考え直せ、暴力を振るう浮気性の元彼のヒモにでもなるつもりか、と普通なら誰もが止めるだろう。
    もちろん本人のノートンでさえ止めておけとイソップを諌めたいところだった。
    だが、どうだろう。この一年全く音沙汰のなかったイソップが、死を目前にしたノートンの前に現れる可能性は、果たしてどれくらいだろうか。
    随分と大人っぽく成長したとはいえ、あの楽しかった頃と変わらぬ慈愛を浮かべたイソップ。

    あぁ、イソップ、
    そうだ、僕は…ーーー。

    「学生の僕がバイトの時間も減らして学業に専念できたのはノートンのおかげだから、付き合うとかそう言うのはまず置いといて、僕がノートンを養う。それでノートンも今のしご…」
    「好き、だ。イソップ…」

    感情が、決壊したのだろう。

    やっとだした答えは随分掠れた。涙が止まらない。腕の震えも。嫌だ。やはり手放したりなんてできない。
    改めて会って、やはり愛しさしかなくて、健気にもノートンを心配してやってきてくれたイソップに、もう何もかもどうでもよくなった。

    「…よしよし、ノートン。…僕は今日、全てやり直しにきたんだ。何もかも、ね?」

    イソップがノートンを抱きしめその背を一定のリズムで叩く。
    久しぶりに人間並に感情が動いたノートンは今まで抑えてきた様々な感情が涙の雨垂れと共に溢れ出した。
    なんでも押し付けてくる上司や昇進をよく思わない周りからのバッシング。肩書きに寄ってくる女に、陥れようとする同期。
    それでも今ここで踏みとどまらなければ同棲しているイソップが自分から離れていってしまうのではと、多大なストレスにさらされたせいか思い込んでいた。結局は自らの手でその予想通りにしてしまったのだが。
    いつの間にか成長した硬い胸に鼻を擦り付けると、さらに強い力で抱きしめられる。
    今度は僕が貴方を守りますからね、などと健気にも言うイソップのあの頃にはなかった頼もしさに、ノートンは恥ずかしげもなく縋りついていた。


    ■■■


    ノートンの有休消化が始まって1ヶ月。
    あの後すっかり荒れ果てた部屋の惨状にイソップが珍しくも怒号をあげてノートンを叱りつけ、物凄く久々に2人で部屋の掃除をした。たぶん2人でこんなに真剣に掃除をしたのはイソップこの家へ越して来た日以来だ。そして1日かけて掃除と洗濯を済ませ、ノートンはこの日に仕事を辞めた。電話口で伝えられたノートンの上司は非常に焦っていたが、詳しい話は後日すると告げて電話を切り、イソップの勧めでそのまま精神科へ受診に行った。
    そして付いた病名でなんやかんや有りノートンはそのまま退職が決まった。退職金もそれなりに貰い(何かしら口留料も入っているのだろう)悠々自適に溜まりに溜まった有給を消化していた。
    そして、隣には…

    「ねえ、もしかしてまだ怒ってる?」
    「怒ってないけど」
    「じゃあもう、より戻そうよ」

    ジュッ、とノリが熱に蒸発する音に続いて香る柔軟剤の香り。スチームをシューッと気化させながらアイロンを止めたイソップの短くなった毛先を遊んでいたノートンは、その頸へと鼻先を寄せて目一杯その香りを吸う。
    そう、その後イソップはノートンとよりを戻していない。勿論ノートンとてあれだけの事があったのだから簡単に元の関係に戻れるとは思っていなかったが、イソップはあの再開後毎日ノートンの部屋を訪れた。だからてっきり元の恋人関係には戻ったのかと思っていた。だがしかし、自分たちの今の関係を聞いたらイソップから『まだ、友達じゃないの?』と返されて凹んだのは今から1時間程まえのことだ。
    明らかに落ち込んでると床に這いつくばってアピールしてみたが『邪 魔』と言われそのままアイロンをかけ始めたイソップ に拗ねて、小さな嫌がらせとしてちょっかいを出していたのだ。
    やはりまだ怒っているのだろう。優しいイソップ のことだから、きっと放っておけずに帰ってきただけに違いないな。
    そんな事を鬱々と考えていると、グイと胸を押されて距離を取られる。そして胸を押した手がノートンの前に止まると、ほっそりとしてはいるが関節のしっかりしている長い人差し指が自身の唇にピッと当てられた。

    「だから言ったじゃない…、また一からやり直したいから、だから髪も切ってきたのに」

    そう唇を尖らせるイソップは大層可愛らしくて、叶うのならば今すぐにでも押し倒したいのだが、当の本人はそれを望んでいない。
    イソップの言い分としては、ノートンと付き合うのはきっと時期早々過ぎであったし、あの時はイソップも学生の身であったがためにそれも引け目に感じていたらしい。だから今度はイソップもちゃんと働いている身で、お互い対等になってからやり直したいとのことだった。
    それはつまり再就職するまでは何もかもお預けというわけで…。

    それでも

    「……似合わない?」

    変わらない笑顔の

    「…抱きたい」
    「最低セクハラ脳味噌下半身、…ハグなら良いけど?」

    隣に君がいるだけで。。。
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