ジェイ監「あ、ドーナツ」
ジェイドがユウの視線の先を追えば、遠くにワゴンの販売車が止まっていた。
二人で出掛けた海は、静かに穏やかに。人々の声よりも波の音がよく聞こえる場所だった。しかし、それ故に食事をする場所はなかった。海の家の一軒すらなかったのだ。
前もってわかっていたジェイドはお弁当を用意していた。大量のお弁当は魔法でコンパクトに持ち運んだ。足りないなどと一言も言わせぬよう。
最近ユウはよく食べる。ジェイドはそんなユウが好きだった。
最初はガリガリにやせ細っていたユウに驚き心配したジェイドがユウに手料理を食べさせるようになった。自分が作った料理がユウの血肉になり、目に見えて体積を増やしていく。ユウが食事を摂る様をジェイドは恍惚として見つめるようになった。
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