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    iro_rrx

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    ※オーエンのキャラ解釈浅いので、何でも許せる人向け

    数か月前からちまちま書いていたけど、上手いオチ?が見つからず断念した。
    日常を目指したつもりだけど難しかった…。
    それはそうとこの3人の二次創作増えてほしい~!!!

     カインが訓練から帰ると、食堂は美味しそうな匂いで満たされていた。
    「美味しい食材が沢山手に入ったから、オードブルを作ってみたんだ」
     ネロが言うには南の国に任務へ行った際、お礼として沢山食材を貰ってきたが、消費期限が早いものばかりであったため、オードブルを作ってみたとのことだった。どれを食べようかなと思いつつ、せっかくなので少しずつ全ての料理を取ってみる。今にも溢れそうな皿を持ちつつ席を探していると、向かい側から声が聞こえた。

    「カインこっちだ!」
     声の主はアーサー。彼の方へ視線を向けると、カインはギョッとする。隣にオーエンが座っているからである。ハイタッチしてアーサーの隣に座ると、オーエンの方を覗き込む。
    「何、騎士様?王子様と一緒にいるのがおかしいの?」
    「いや、そういうわけじゃないんだが……」
    「僕はただ王子様と仲良くなりたいだけなのに」
     カインは警戒している。万が一大切な主君に何かあったら大変だからである。しかし、心配をよそに当の主君はオーエンと楽しそうに話をしている。
    「オーエン。甘いものばかり食べていては栄養のバランスを崩してしまう。この野菜も美味しいぞ。食べてみないか?」
    「僕に指図しないで」
    「この野菜とっても甘いんだけどな……」
    「……食べる」
     いつの間に仲良くなったんだ――カインは複雑な気持ちになる。仲良くなるのは喜ばしい事だが、そんなオーエンに騙された事が何回もある。もしアーサーが騙されて傷付いてしまったら――。

    「殿下。こちらの料理は食べられましたか?」
    「何だ急に?まだ食べてないが……」
    「殿下の好きなシチュー味のグラタンですよ」
    「……そうなのか!ありがとうカイン。取ってくる」
     アーサーが席を外すと、オーエンにひそひそ声で話しかける。
    「何が目的だ?アーサー様だけは……」
    「……へぇ。王子様に何か企んでいると思ったの?けど残念。最初に話しかけてきたのは王子様の方だよ。王子様はもっと話したかったかもしれないのに、引き離すなんて最低だね」
     オーエンは端正な口元をあげて目の前のカインの反応を楽しんでいる。カインが何と言おうか視線を彷徨わせていると、料理を取ったアーサーが戻ってくる。アーサーの皿の上にはカインが勧めたシチューグラタン、そしてオーエンが勧めた甘いジャムとクリームがかけられたスポンジケーキが載っていた。
    「こちらはオーエンが勧めてくれてな。せっかくなのでカインの分も取ってきたがいるか?」
     カインは色が異なる目をパチクリさせる。あのオーエンがアーサーに好きな料理を紹介する? もしかして毒でも含まれているのではないか――ネロに失礼だと思ったが『毒味』をするためにアーサーからケーキを貰い、一口食べる。
    「……美味しい」
     普通に美味しい。少し甘すぎる気もするが、訓練終わりの身体にはちょうどよい。
    「もしかして騎士様、僕のこと疑ってた?」
    「いや、そういうわけじゃないんだが……。すまない疑っていた」
     オーエンはふぅん、と言い目の前にあるクリーム山盛りの食べ物(クリームが多すぎて中身がわからないが)を口に運ぶ。
    「何を疑っていたのだ?」
    「いや、その……」
    「騎士様は僕が王子様の食事に毒を入れたと疑っていたんだよ」
    「そのようなことは」
    「だから悪かった。疑ってすまない」
    「……カインは私のためを思ってくれただけだ。私に免じて許してくれないか」
    「何でおまえなんかに」
    「今度王都一のパティシエが作るケーキを奢るよ。普段は中々予約が取れないのだが、私の名前を出したらきっとすぐにでも……」
    「行く」
    「えっ」
    オーエンの急な態度の変化には未だ慣れない。「傷」を負っている時であればまだわかりやすいが、普段の時はどこに真意があるのかわかりにくい。それ故にいつも以上に言動には慎重になるのだが……。
    「騎士様は何を奢ってくれるの?」
    「えーっと、そこの店のお土産……とか?」
    「まぁ悪くないんじゃない」
    悪い事をしたと思ったので、どのように声をかけて行動するか悩んでいたが、その時間はなんだったのだろうか……。なんだかんだ会話が成立しているアーサーが凄いのか、それとも俺が下手くそなだけか。

    「カインどうかしたのか?」
     青い瞳が心配そうにこちらを覗き込んでくる。
    「騎士様は僕に酷い事をしたと思って落ち込んでいるんだよ」
    「悪気があったわけではない。カイン、今度一緒にオーエンにケーキを奢ろう。それで許してくれるはずだ」
     殿下、あそこのケーキはそこそこのお値段がするのですが……いや、これで許してもらえるのであれば『安く』済む方だろう。
    「ホールケーキがいいな。真っ赤でぐちゃぐちゃだったら最高」
    「わかった。ストロベリーケーキだな。クリームとソースをたっぷりかけてもらおう」
    「やった。……あれ、騎士様どうしたの? さらに青ざめてない?」
    「カイン大丈夫か?」

     この二人を組ませたら、『平和』で『危険』なのかもしれない。――今後も色んな意味で気を付けようと思うカインであった。
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