嶺二はどうやってベッドから抜け出していたのかいつだっておれより先に起きて、身支度を済ませ朝飯の準備までしていた。このことはどこか胸のつかえになっていた。
それから互いにどちらかの部屋で朝を迎えることが増えたある朝、おれが先に目覚めた時にまだ隣で眠る嶺二の姿があった。感動より何より思わず呼吸を確認してしまった。それほどありえないことだったからだ。おれの手のひらが近付く感覚ですぐに嶺二は目を開けてしまったが、その日から嶺二がおれより遅く目覚めることが増えた。
ただ眠りが浅くておれが起きればすぐに嶺二も目を覚ましたから、結局嶺二を起こさずにいるのは難しかった。
「まだ寝てろ」
「うん」
「飯できたら起こしてやるから」
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