居場所になってやるとは言ったがお付き合いとか結婚とか性的な関係になるとか考えもしてなかった。
成人男性の完成された大きな手が俺の頭や髪を撫で回す。そこに親愛や友情なんてものは欠片しかなく、間違いなくオーヴァン……リアルだから雅人さんか。耳のふちをゆるゆる揉んで、首筋を撫でて頬に戻り唇の横をゆっくりさわる。
これって何か求められてる?
首をかしげる俺に雅人さんは困った顔をした。
眉が少し寄せられた、オーヴァンの時にも見た表情。
「許可を、くれないか」
もう触ってると返せば、もっと近付きたいと。
頬を包んだ手に俺の手を重ねて、いいよと言うと、また困った顔をした。
ゆっくり近付いてくる雅人さんの顔を少し見て目を閉じる。
初心者相手にべろちゅーするなと、何年経っても俺はきっといい続ける。