R-15 刺青精霊紀行 谷川岳一ノ倉沢
死の気配に惹かれる精霊は、その地の災厄と喪失を身に刻む。
登山者のなかには、死に向かい山に登るような人がいる。
谷川岳での遭難死者数は820人超。世界で最も多い。なかでも一ノ倉沢は、昭和初期から登山者の命を飲み込んできた。昭和初期に行方不明となった登山者の遺体が、50年ぶりに発見されたことさえあった。
収容不可能な遺体を野焼きするため多くの木が焼かれ、山の木が減ってしまったという。少女は山で野焼きされることを美しいと感じた。
この山には常識では考えられない遭難死、そして死者の逸話が多く伝えられている。
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①②土合駅
日本一の地下駅と呼ばれており、下りホームから改札までの間に486段の階段がある。かつては上野発の夜行列車に乗れば、翌早朝にはこの駅に降り一ノ倉沢へ歩いて入ることができた。そのアクセスの良さが、ここで多くの遭難死を生んだ大きな理由のひとつだろう。
③一ノ倉沢
ヨーロッパアルプスのピッツ・バディーレ北稜に比肩する難度(5級下・最高ピッチⅤ)のルートを擁する。アイガー北壁に比せられる日本三大岩壁のひとつ。死者数では世界一とされ、世界の八千メートル峰での死者数を全て合わせたよりも多い。...more
④土合霊園地
谷川岳で遭難死した登山者の慰霊塔がある。昭和12年(1937)に地元の水上村と水上山岳会により建てられた。となりに遭難者の名前が刻まれた黒い壁のような「過去碑」がある。ここに昭和6年(1931)の最初の死者から年代順に名前が刻まれている。その数は820人を超える。
⑤一ノ倉沢出合い
岩壁に死者を悼むレリーフ(墓標)が百以上も打ちつけられている。錆びて朽ちかけたそれらを眺めていると、裸の女性を彫った奇妙なレリーフを見つけた。まだ16歳だった死者を悼むものだった。女を知らず死んだ子を思う親の気持ちが切なかった。
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