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    NeuRo1616

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    NeuRo1616

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    14/書きかけのまま暁月突入したらもろもろがバッティングしたやつ
    本編の内容踏まえて後半をなんとかできたらなんとかなりそう

    光行距離 ワタシたちの文明において、空に見える星の光は、遥か彼方で瞬いた遠い過去からの贈りものだというのは周知の事実だった。とうに塵になっているかもしれないものの残光を有り難がるなんて、よくよく考えてみればけっこう不吉なことかもね、と戯れにエメトセルクに話を振ってみたら、また世迷い言をと言わんばかりに口元を歪めながら、
    「それでも、闇の中に触れ得ざる光がぽつんと閃いているのを見つけたら、それを仰がずにはいられないのが人というものだろう」
    と貴重なご意見を賜ったんだっけ。
     アーモロートは決して灯の絶えることない街だった。陽が沈み天が漆黒のベールに蓋われる頃には、立ち並ぶ建物のいずれもが、道行く市民を包み込むように柔らかい光を宿していた。同志と夜通し弁論に熱を上げるにしても、微睡みながらまだ見ぬ明日がきっと善い日であるようにと祈るにしても、とにかく明かりには不自由しないこの街で、それでも人々はふとした瞬間に夜空の星を見上げ、その美しさを、その奇跡を讃えることを忘れはしなかった。なんといっても世界の運営を司る十四人委員会の象徴にそれを選んだくらいだから、彼らの星好きは相当なものさ。なのでまあ、ワタシも——厳密にはこうしてとりとめのない追懐に明け暮れるワタシは、あの世界で友と語らい生を謳歌したワタシそのものではないんだけれど——エメトセルクの言葉に反論する理由というのは特に思い当たらなかったわけだ。いささか感傷的ウェットではあると思うけどね。
     それでね、ほら、星の光は途方もない時間をかけて地上に降り注ぐけど、それに負けないくらいの年月をエメトセルクたちも生きてきたから。いつかのアーモロートで見た星の輝きがいよいよ絶えて夜空から姿を消してしまったことも、きっと一度や二度ではなくあったはずだ。
     その時彼は何を思っただろう。まだこの星が災厄に見舞われる前、今日は星がいっそう冴え冴えと輝いている、この手だって届いてしまいそうだと笑いながら、大気中のエーテル濃度の変化による光散乱の強度について議論を交わしていた学者たち。親の背中によじ登って、いっぱいに見開いた瞳にきらきらと光を溜め込みながら夜空に目を凝らしていた小さな子供。淀みなく天を巡る星々のごとく、あなた方の紡ぐ星の秩序がつつがなく地上の命を回してくれますように、と新たなエメトセルクの誕生を祝した市民たち。それらを眩しいものでも見るかのように、仮面の奥で目を細めながら静かに眺めていた彼は、一体。
     まあ、彼も今となっては命の海に還った者だからね。生前はあれこれと愚にもつかない話を仕掛けてエメトセルクを困らせていたワタシでも、死者が死者の胸の内を詮索するなんて、こんな不毛なことはそうそうないって思うさ。だからそうだね、これからは星を集めてくれたキミ——十四番目の星を携えこの幻影都市を去っていったキミ。キミの魂にまつわる話でもするとしよう。
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    NeuRo1616

    MAIKING14/書きかけのまま暁月突入したらもろもろがバッティングしたやつ
    本編の内容踏まえて後半をなんとかできたらなんとかなりそう
    光行距離 ワタシたちの文明において、空に見える星の光は、遥か彼方で瞬いた遠い過去からの贈りものだというのは周知の事実だった。とうに塵になっているかもしれないものの残光を有り難がるなんて、よくよく考えてみればけっこう不吉なことかもね、と戯れにエメトセルクに話を振ってみたら、また世迷い言をと言わんばかりに口元を歪めながら、
    「それでも、闇の中に触れ得ざる光がぽつんと閃いているのを見つけたら、それを仰がずにはいられないのが人というものだろう」
    と貴重なご意見を賜ったんだっけ。
     アーモロートは決して灯の絶えることない街だった。陽が沈み天が漆黒のベールに蓋われる頃には、立ち並ぶ建物のいずれもが、道行く市民を包み込むように柔らかい光を宿していた。同志と夜通し弁論に熱を上げるにしても、微睡みながらまだ見ぬ明日がきっと善い日であるようにと祈るにしても、とにかく明かりには不自由しないこの街で、それでも人々はふとした瞬間に夜空の星を見上げ、その美しさを、その奇跡を讃えることを忘れはしなかった。なんといっても世界の運営を司る十四人委員会の象徴にそれを選んだくらいだから、彼らの星好きは相当なものさ。なのでまあ、ワタシも——厳密にはこうしてとりとめのない追懐に明け暮れるワタシは、あの世界で友と語らい生を謳歌したワタシそのものではないんだけれど——エメトセルクの言葉に反論する理由というのは特に思い当たらなかったわけだ。いささか[[rb:感傷的 > ウェット]]ではあると思うけどね。
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