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    suika_disuki

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    suika_disuki

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    3️⃣🎍嫁
    旅行計画小話

    「チヨくん何処にしよっか? やっぱりバリ島かな、グアムもいいか? ハワイもいいなー、あ、セブ島とかは?」
    旅行のパンフレットを楽しそうに眺める姿煮普段なら満足するが、この旅行に行ける代償を思い出すと今でも撃鉄に指が掛かる。
    仕事の報告をしにマイキーの執務室へ行けばタケミチが膝に乗り「まんじろーおしごとがんばってえらーい」なんてやっていたのだ。
    咄嗟に懐のアレを取り出さなかったのはタケミチの顔は興味のない話を聞かされ愛想笑いを超えて意識を遠く飛ばしていのが一目でわかったからだ。もし、そうでないならどうしていたか? そんなこと言うに及ばず、だ。
    聞けば名前呼びとお膝にお座り(お触り付き)をしたら7連休で二人きりの旅行を貰えるという話になっていて、タケミチはお仕事中との事。
    その後、ココがやって来て、灰谷の馬鹿どももやってきて大変なことになった。 タケミチの前で灰谷馬鹿兄弟は大人しくあろうと、良い奴のフリをしているが信じられない程嫌われている。うんざり顔が二人を見た途端に苦々しいもわに変わり「まんじろー、俺灰谷さんこわーい! あっち行けって言って!」なんて遠くへ追いやろうとすらしていた。何をしたらタケミチにここまで嫌われるのか。
    そうして、本当に与えられた連休の行き先を決めている。
    しかしな、嫌な予感しかしない。多分、おそらく、いや絶対ついてくるだろう。部屋は別、そんな落ちだ。
    「本当に俺が行先決めてもいいんすか?! こういうのチヨくんのが上手いのに……」
    「テメェが好きなようにしたらいいだろ? いつもオレが決めてんだし、たまにはお前もエスコートしろ。クソみてぇなプランにしたらスクラップだぞ?」
    「えー! プレッシャーだなぁ!」
    プランニングは得意だ。苦ではない。しかし。しかしだ、今回旅行のプランをたてたら必ず誰かが其れを入手し、絶対についてくる。
    撒ける可能性が少しでもあるタケミチに託したのだ。
    こちらとて、夫夫水入らずの旅行を邪魔なんてされたくない。この旅行は今更ながらの新婚旅行でもある。指輪も渡してない、式もあげてない。共に暮らす以外夫夫の証明は役所の紙切れ。
    やっと夫夫らしいことが出来るのだから浮かれない訳が無い。
    「よーし! 行先は海外にしちゃおう! パスポートちゃんと更新してて良かったね!!」
    行き先を決めたのか、ツアーにするのかしないのか。どこをめぐって何をするのかをリストアップしていく。
    ハッキングされているであろうパソコンからホテルの予約を見て、グレードを見て翻訳機能を使いながら色々している。
    「明日は友達にあってアドバイス貰ってくるね! チヨくんにはサプライズだから、絶対当日までは秘密だからね! 見たらダメだよ!!」
    「うっせぇ! めんどくせぇこと言ってねぇでとっととやれ!!」
    「チヨくんの事絶対びっくりさせるからね!」
    満面の笑顔。守りたいこの笑顔……!! 行先に現れたマイキーをみて顔を曇らせたくないが……国内最大級の反社。頭の中でどうするか常に考えているが、答えはまだ出ていない。

    結局、答えが出ないまま旅行の日程が組まれ、その日がやって来た。Tシャツに綿パンとラフな格好。髪をまとめ帽子へ隠し、黒いマスク。タケミチは意味のわからない絵のシャツとハーフパンツ。
    飛行機のチケットがあるのでそれなり遠出である。旅支度もタケミチが全てやった。荷造りをしていないので服装からどの国へ行くのかすら分からない。
    検索歴からは海外だと予想はしている。
    「チヨくんのケースはこっちのピンクで俺が黄色ね。友達と話してたら、すっげー面白い事になったんだ。絶対チヨくんも驚くよ。楽しみにしててね!」
    「ドブのくせに俺を驚かせるとか生意気言ってんじゃねぇよ。とっとと出んぞ」
    まだまだ夜と言っていい時間。
    タクシーで空港まで行き、国際便と国内便の分岐点に来る。
    「あ! ヒナ! お待たせ」
    「タケミチくん、おはよう」
    「おはようございます。タケミチくんとその旦那さん」
    目の前には昔タケミチに色目を使っていた女。男ウケが良さそうな清楚なクリーム系に花柄あしらわれたワンピースと首元には四葉のネックレス。その隣には黒髪で少々目つきの悪い男が立っている。
    「ちわ……」
    無愛想と分かっているが、この女はタケミチに対してまだクロだ。なぜって、夫の勘というやつがそう告げているから。
    「チヨくん覚えてる? 中学生の頃にあったと思うけど橘日向さん。旅行の計画一緒にしてくれたんだ! で、こっちが橘直人くん。ヒナの弟でなんと! 警官です!!」
    警察と聞いて眉間に皺が寄る。別に梵天は警察とズブズブで怖くない。一介の警官などなんの脅威でもない。梵天に楯突くやつは消えていく。でも、タケミチは梵天の輪から離れている。こういった類の奴とは関わって欲しくない。
    「どうもっす……ヘドロ……時間いいのかよ……」
    「ごめんねナオト。チヨくん俺の知り合いには誰にでもこんな感じなんだ。あがり症なのかな? はい、これチケット。二人で旅行楽しんでね」
    「僕は気にしませんから。はい。これがお二人のチケットです。良い旅を」
    互いにチケットやパンフレットの入った小袋を渡し、手を振り離れる。そんな、二人を唖然として見送る。
    「ふふっ、驚いた?! ヒナと俺の旅行プランをトレードしたんだ! 二人で話してたらさ、面白いなって盛り上がってさ。えーっと場所は……北海道だ。よかった。俺英語なんてわかんないからさ、レンタカーもしてくれてる。うわ、スケジュールすっげぇ。チヨくん二人きりの旅行、楽しみだね」
    「ヘドロテメェ……!!」
    俺の個人情報を勝手に女に見せんなとか、あの女と会うなとかいいたいが、とりあえずタケミチを力いっぱい抱きしめた。
    「えへへー、驚いたでしょ?」
    「ヘドロのくせにやるじゃねぇか?」


    「は? タケミっちが搭乗してねぇ?! 巫山戯てんじゃねぇーぞ!! ちゃんとハッキングしてたんだよな?! は? チケットは女の家でやってたから知らねぇだと、んなの知るか!! 誰か脅しででも情報引っ張っれただろうが?! 今すぐ行先掴んで来い!! 」
    ブチ切れたマイキーがスマホを叩き切る。
    「ココ今すぐ帰りのチケット取れ!!」
    「うわーやられたなぁ。蘭ちゃんはーここでしばらく休暇とりまーす!」
    「タケミっちってそういう勘の良さは持ってるよな。俺も帰んねぇ」
    「この旅費は経費では落とすんだ、キャンセル料なんてくだらねぇ金は使わせねぇぞ! しかも、取引の予定も入れちまってる。帰るにしても全部やってからだ」
    「久しぶりに俺のボスに会いたかった……」
    「おい、イヌピー。タケミチは俺ら二人のボス、だからな?」
    バリ島へやってきたマイキー、蘭、竜胆、ココ、イヌピーは気まずい休暇を過ごすのだった。



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