「たっだいまー」
「えっ!蘭同居人いるなら教えてよ~!3Pとかやだから!」
「あ?大丈夫、タケミチ童貞だし!」
泥酔して、帰ってきたのは同居人というより恋人の蘭。今日はお持ち帰りかよ!と流石に驚きすぎて目が落ちた。
蘭は昔は違った。なんでも優先してくれたし、浮気なんてなかったのにいつの頃からか女や男を作って遊ぶようになっていた。強く言えなかったのも原因かもしれない。
当初はショックで泣いたりしていたし、やっぱり女が……と悩んでもいた。しかし浮気相手に男がいることを知り、彼の性分なんだと理解する。
「えっ?!帰ってもらっていいっすか?!蘭くん約束ですよね?!ココには友達以外連れて来ないって……!!」
「えー?この子蘭ちゃんの友達~」
「そーお友達なの!」
「……。そうですか。分かりました。なら俺が出ていきます……!!」
約束だ。この家には知らない子は上げないと。
財布と充電していたスマホを取って出ていく準備をする。
「えー、タケミチコンビニいく?ならゴム買ってきて~。足りないかも」
「もーやだ蘭!」
「っ、コンビニじゃ無いです!俺、今日は竜胆君かマイキーくんの家に泊まりに行きます……!!」
ほんとに最低だ。なんでこんなクズ好きなんだろうか?
別れる時期を見誤ったとしか言えない。
「は?ダメだ!!」
出て行こうとする腕を掴んで泥酔して力加減がバグった握力は痛い。
「痛い!俺は行きます!!行って欲しくないならその子を帰すかです!!」
「……分かった……あーあ。じゃさよなら」
残念そうに肩を落とし、女の子に手を振る。
「は?!ちょっとありえないでしょ!もー蘭冗談やめてよぉ」
真夜中。終電も終わり、タクシーも出払った夜の街に放り出そういうのだ。ついさっきまでヤろうとしていてそれはさすがにジョークとしか思えない。
「あ?俺が言ったこと、聞けねーの?」
酔っているが、その声には先程とは違う冷たいモノが含まれている。
蘭は手間がかかる事が嫌いだ。自分の思い通りに甚振るのは好きでも、反抗されるのを嫌う。蘭がその時決めた事は絶対で、それ以外はない。
「とっとと出てけ」
たじろぐ女の子は慌てた様子で玄関に戻り、出ていった。ちゃんと蘭の質を知っている子でよかった。下手にごねたら何をするか分からない。
「ふぁ~寝みータケミチ寝よ」
「……俺、今日は出ていくって決めたっす……」
「もー蘭ちゃんタケミチのおねがい聞いたじゃん。わがまま言っなって」
「ちょっと……!!」
掴まれた腕画ギリギリ締まって痛い。そのまま寝室につれて行かれ、抱き枕とかした。
しばらくするとグーグー寝息が聞こえてくる。
こちらのイライラはどんどん募って腕が緩んだ隙に抜け出すことに成功。
このまま出て行ってもいいが、腹の虫が治まらない。
そうして、1つ名案が浮かぶ。
そして早速準備しに行く。
「蘭くん……俺も怒ってるんだから!!」
片手にカミソリ。片手にシェービングローション。
酒に飲まれた蘭は起きない。だから今のうちにお仕置する。
ズボンをずりおろし、整えられているそこに泡立つローションをタップリ乗せて刃を滑らした。
「竜胆聞けよ~タケミチに剃毛されたー」
「……兄貴たちの性生活は知りたくねぇけど?特殊プレイの報告とかいらねーから」
「ちげーよ、タケミチ怒らせたら剃られちまってさー」
「あーあー聞こえねー。まじそう言う話聞きたくねぇから!!」
「すね毛まで剃られてツルツルなんだよーしかもあいつ家の脱毛まで全身に当てたって言うから容赦ねぇよ」
「それは容赦ねぇな……」