明智さんと劍さんめーちゃ書きかけの未来の隆小夜です。
○序
こいつにだけはもう触れてはいけないと思っていたはずだった。
今は多少話す間柄で、隣人のマネージャーで、昔お互いに大きな失敗をした同士の、年下の女。
だけど、俺はそいつの長い髪についた埃をするっと取ってやる。
「……っ」
彼女は露骨に動揺して、でもそれを押し隠そうともして中途半端に身を引く。
広めとはいえエレベーターの中で、そこまで距離は取れていない。
「埃、ついてたから」
「あ……ありがとう、ございます」
「ああ」
会話は一往復と俺の相槌で途切れる。気まずい。
俺はもう一言だけ追加する。
「来ませんね」
「そうですね」
これも一往復で終わった。
俺・劍隆文は今、明智小夜と共に、故障したエレベーターに閉じ込められている。
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