NO WAYこんなに美しい舞を夢に見るくらいだから、僕はもう、このまま折れるんだと思った。
「桑名!よかった。目ぇ覚めて!」
一瞬泣きそうに歪んだ豊前の笑顔を見て、僕は自分の置かれた状況を思い出した。
「さ、帰っぞ。本丸まで気ィ抜くなよ!」
転移装置に運び込まれる間際に視線の端に立派な神棚が見えた。
「あれ、かすかに酒精のにおいがする」
「あぁ、消毒すんのに神棚からちっと拝借した。」
「えっ、神様に怒られない?!」
「でーじょーぶだよ、ちゃんとお礼に奉納してきたから。前に桑名に教えてもらったろ?口かみ酒。ちゃんと神楽も舞っておいた。桑名の傷もちっとよくなってるみてーだし…」
「なにそれ!!戻って!!そんなえっちなもの置いていけないし誰にも渡したくないよ!!」
397