オリオンをなぞって1か月間のリハビリを経て豊前は日常生活に戻ってきた。リハビリでは医療班も驚くほどの回復ぶりを見せて驚かせていたが、裏には豊前の血の滲むような努力があったことを僕は知っている。ほんとにすごいよ、君は。
僕はそれがもう嬉しくて嬉しくて、審神者であるナベリウス・カルエゴ卿に1週間の有給を申請した。状況を把握しているだけあって、すぐに許可をもらえた。それはもちろん、豊前との時間を過ごすため。半年間は短いようで長かった。
「泣くなって」
「泣いて、ない…」
豊前が笑っている。こうして目の前にいるのが奇跡のようだよ。
「だけどね。ちょっと手加減してほしい、のだ、けど…!?」
「なんで?」
「もう、ダメって言ってるじゃないかっ、っあ!」
「体はめちゃくちゃ反応してるのに、か?」
「っっ…!!」
「怪我して回復するまでの半年、すっげー長かったんよ。何回、頭の中で松を犯したかわからねえ。松井もずっとこうしたかったんじゃねえのか」
少し眉を下げた表情で言うのはズルい。僕が逆らえないのを知って言っているくせに。
「…したかったよ、君と。ずっとふれあいたかった……」
「松井……」
「…豊前、好き…だから、もっと、して…」
豊前に触れられると、頭がどうにかなりそうでこわい。
それでも……久しぶりの豊前の匂い、体温、声に、脳が染められていくみたいでなんだか幸せだ。
「まつい、ちょっと休むか?」
「……やだ、抜かないで…」
豊前の優しさは嬉しい。けれど、いまの僕は離れたくなかった。もう大丈夫だと頭で理解しているのに、ここで離れたら二度と会えないような気がしてしまったんだ。広い背中にしがみつくと、豊前がふっと笑った気配がした。
「……っ、あ、な、なにっ」
腕を掴まれたと思ったら、膝の上に座るカタチになっていた。奥の奥まで入ってくるから、全身がびりびりする。ああ、だめだ、だめになる、こんなの。こんなに甘やかされたら僕は、豊前なしでは生きられない体になってしまうよ。
「まつ、動けるか?」
「え、あ、な、なんで……」
「回復したご褒美くれよ?な?」
そんな言い方はずるい。けれど、これが惚れた弱みっていうのかな。なんでも言うコトを聞きたくなってしまうんだ。円を描くように腰を回したり、上下に揺らしてみる。豊前の気持ちいところを僕は知っている。快楽で歪んだ豊前の表情を見れるのも、息が詰まった声を聞けるのは、僕だけ。僕だけの秘密。
「……っ、ふ、うっ」
埋め込まれたものの質量がずんと増えて、つま先に力が入らない。首に腕を回して「動いて…」と囁くと腰を掴まれて突き上げられた。
気持ち良すぎて、声が、出ない。
熟した粘膜に豊前が快楽を植え込んでくるのがわかる。身体の中に豊前が刻み込まれていくみたいだ。互いを失いたくない気持ちは同じで。
望むままに僕たちは快楽を分かち合った。
(君を失わないためにも、もっと強くなるから)