鳥籠の天使「ホワイト…!本当に、本当にホワイトじゃ…!」
「スノウ!」
神殿での殺伐とした空気とは一転し、鏡写しのような双子が互いの再会を確かめ合っていた。晶のおかげでネロは世界のために犠牲になる事なく、スクアーマとして生きる人達も滅びを待つ運命から遠ざけられた。
海軍の協力を得て海底から浮上した晶達は、照りつける陽射しに目を細めつつも、変わらぬ世界の姿に安堵する。息を呑んだ不穏な大渦は、今や見る影もない。薄桃色の銀波桜が隠すようにまた海を染め、神殿はまた深い海底へと消え去った。
「あ、キャプテン!おい、ネロと晶もいるぞー!」
「おおおおお!!」
いち早く晶達を引き上げたブラッドリーの部下達は、すぐさま歓声を上げる。自らの意思とは言え消息を絶ったネロと、海に飛び込んだ晶達が生きて戻ってきたのだ。海賊を生業とする彼らにとって、死は身近な存在であるためか、余計に喜びを感じるのだろう。
4087