雨の日の約束雨が降っている。
どしゃぶりではなく、静かな雨で、
スヤリス姫は安眠を続けていたのだけれども、雨音が目覚ましとなって、眠気も吹っ飛ばしてくれて、
だから、
「今日は雨だよ」
「……雨なんだね」
あくましゅうどうしの部屋に行って入れば彼は熟睡していて、スヤリス姫は寝顔をずっと見ていた。彼はやがて眼を開けて、目が合って、スヤリス姫が転機を話せばあくましゅうどうしは動揺を抑えるに抑えて答えてくれた。
「そんなに雨が嫌だったの?」
「姫が顔を見ていたことにびっくりしたんだ!!」
あくましゅうどうしは朝から元気だなとなる。
「牛乳あるよ」
「……あるんだ」
「持ってきたし」
スヤリス姫はぼさぼさの髪をしていた。あくましゅうどうしの部屋に入る時は抜け穴を使うので髪は荒れる。
「髪の毛、とかすよ」
「雨だから安眠したい」
「晴れでも雨でも安眠しているよね」
「してもいい?」
「いいよ」
あくましゅうどうしとしてはスヤリス姫は彼女の部屋で安眠しているのだからとなって軽く言ったのだが、
「レオ君の部屋で」
倒置法。
不意打ち。
肯定をしてしまった。
あくましゅうどうしは凍り付いた。