東の夜空に誓いをひとつ ゴクゴク、とウーロン茶を飲む横顔すら美しくて、見とれていた。
花火大会の観覧席。その中の一等地である旅亭の個室に、英智とあんずは仕事と称してふたりで来ていた。とはいえ経費で落とすつもりはなく、実のところ、プライベートのじかんである。それでも建前上、仕事として来ているのだと言い訳できるように工作をしなければいけなかった。英智とあんずがふたりきりになることは難しくないけれど、それにはそれなりの理由が必要だった。
すでに花火大会は始まっていて、暗がりの空に明るい花火がパッと咲いては流れて消えていく。
座椅子に座って室内から花火を眺めるなんて、身に余る贅沢だとあんずは思う。社交界で育ってきた英智から見れば、これでもカジュアルな方だとは言うけれど。
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