Lemon×Candy×Ribbon【むいこて】「はい、これ」
小鉄の前に現れた無一郎はひどく疲れた顔していた。
どうしてそんな顔をしているのか、何故ここにいるのか。小鉄の頭にはたくさんの疑問符が浮かんでいた。
「ええっと、これ何?」
けれども最初に口から飛び出たのは目の前に差し出された綺麗な包みについてだった。
真っ白なハンカチの端を鮮やかなリボンで括ったそれを無一郎はぽいっと小鉄へと向けて放る。
「わ、ちょっと!」
小鉄はぶつくさと小言を漏らしながらもそれを受け取り、リボンを解く。すると中からリボンと同じ鮮やかな色に包まれたあめ玉が溢れ出て、ころんと床に一粒転がった。
「巡回の途中で、襲われてる人が居て……。あ、鬼じゃなかったんだけど。助けてあげたらお礼にって」
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