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    ぴの

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    ぴの

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    ヌードペンという名称を初めて知った。

    「大和さん、買ってきましたよ!」

    小さな袋を差し出すマネージャーの前で首を傾げると、何故だか返ってくる得意げな表情。
    心当たりが浮かばないまま受け取って中身を取り出してみれば、掌に転がり落ちたのは一本のボールペン。

    「ほんとに買ってきたんだ……」

    よく売ってたなと半ば感心しながら手に取ったボールペンを、興味本位で傾ける。徐々に露わになる肌色に、いよいよセクハラで訴えられるのではないかと多少の焦りを感じたものの、目の前のマネージャーは興味津々とばかりに、金髪の女性へと目を向ける。

    「これって、どういう仕掛けになってるんでしょう?」
    「中に液体が入ってて、それが動くと脱げるって聞いたことあるけど」

    なるほど。なんて言いながらまじまじと描かれた女性の裸体を眺めるマネージャーを眺めていると、なんだか俺の方がいたたまれない気持ちになってしまう。

    「マネージャーが選んでくれたの?」
    「はい!」

    そっと逆さに傾けて服を着せながら問いかけると、次の現場で手本にしようと思えるほどの気持ちいい返事。
    一体どんな気持ちでレジに持って行ったのか。きちんと経費で落ちているのか。満面の笑みを前にして、余計なことばかり考える。

    「お気に召しませんでしたか?」
    「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

    眉間の皺に気づいたマネージャーを前に、それ以前の問題だと言えるわけもなく。一応の礼を言いながらボールペンを袋に戻してみれば、いっぱい使ってくださいと立派なオチがついてきた。

    「こういうのって、どこに需要があるのかね」
    「大和さんみたいに、お好きな方がいらっしゃるんじゃないですか?」

    色っぽい奴がいいと言っただけで、別に好きとは言ってない。あらぬ誤解を招いてしまった冗談を少しばかり後悔しながら、適当な咳払いで答えを誤魔化す。

    「男を脱がせるやつも売ってなかった?」
    「隣にありました」
    「試してみた?」
    「するわけないじゃないですか!」

    間髪入れずの否定は想定通りなのだが、ここにきて今さら照れたところで。と思えば苦笑が浮かぶ。

    「まあ、売ってるってことは一定の需要があるんだろうねぇ」
    「うちでもライブグッズの参考にしてみた方がいいでしょうか……」
    「正気?」

    迷走を始めたマネージャーの姿を前に、思わず顔が引き攣った。
    ヌードペン片手にペンライトを振る客席に、どんな顔をしてファンサービスをすればいいのか。まあ、一部に需要がありそうなメンバーがいることは、否定できなかったりするのだが。

    「そういうのは、TRIGGERさんとか他にお似合いのグループがいるでしょ」
    「アイドリッシュセブンだって負けてませんよ!」

    いいんだよ、そこは負けて。むしろ不戦敗でいいレベル。懸命に張り合ってくれるのは嬉しいけれど、その情熱は是非とも次の機会まで残してほしい。

    「一応、提案だけでも……」
    「やめてください」

    そんなことを脈絡なく提案された日には、俺が社長に呼び出しを受けかねない。笑顔が招く地獄を想像するだけで身の毛がよだち、思わず体が小さく震えた。

    「お兄さんも一緒に考えるから、とりあえず今ここでボールペンのことは忘れてくれる?」
    「わかりました……」

    しゅんと肩を落とす姿を見ると、多少なりとも罪悪感が芽生えてしまう。しかし、それとこれとは別問題。俺だって可能な限り長生きしたいし、リーダーとして六人を守る義務がある。

    「ボールペンのお礼に、飯でも行かない?」
    「え、でも、ご褒美って……」

    戸惑う表情を見下ろしながら頭に手を置いても、不満の言葉は聞こえない。それどころか少しばかり朱に染まった耳先に気づけば、気分は高揚するばかり。

    「やっぱりご褒美は、デートの方が嬉しいわ」
    「ま、またそうやって……!」

    そろそろ慣れてくれてもいいのにと思いつつ、冗談で揶揄うことだけはやめられない。
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    ぴの

    DONEヌードペンという名称を初めて知った。「大和さん、買ってきましたよ!」

    小さな袋を差し出すマネージャーの前で首を傾げると、何故だか返ってくる得意げな表情。
    心当たりが浮かばないまま受け取って中身を取り出してみれば、掌に転がり落ちたのは一本のボールペン。

    「ほんとに買ってきたんだ……」

    よく売ってたなと半ば感心しながら手に取ったボールペンを、興味本位で傾ける。徐々に露わになる肌色に、いよいよセクハラで訴えられるのではないかと多少の焦りを感じたものの、目の前のマネージャーは興味津々とばかりに、金髪の女性へと目を向ける。

    「これって、どういう仕掛けになってるんでしょう?」
    「中に液体が入ってて、それが動くと脱げるって聞いたことあるけど」

    なるほど。なんて言いながらまじまじと描かれた女性の裸体を眺めるマネージャーを眺めていると、なんだか俺の方がいたたまれない気持ちになってしまう。

    「マネージャーが選んでくれたの?」
    「はい!」

    そっと逆さに傾けて服を着せながら問いかけると、次の現場で手本にしようと思えるほどの気持ちいい返事。
    一体どんな気持ちでレジに持って行ったのか。きちんと経費で落ちているのか。満面の笑みを前にして 1614

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