鈴の音が聞こえて真子は動きを止めた。
『……姫』
聞き慣れない固い切袴の声に、鞘を持つ手に力が籠る。『普通』の人間である真子にも分かる、何か得体の知れないものが近くに居る気がする。
また聞こえた鈴の音に今度は後ろを振り返る。
「──っ?!」
蒼いコートをはためかせて『それ』は其処に立っていた。
新しいヒーローが誕生した。
その話に修羅王丸は然程に興味は抱かなかった。全国津々浦々に流浪している身としては、各地で新しいヒーローの誕生は時折耳にするので珍しい事ではない──三年の間に立て続けにヒーローが誕生するのは珍しい事ではあるが。
そのヒーローがどんなものか、ヤバイ仮面がそのヒーローに挨拶がてらに一戦交えた様だが、そのヒーローについては『普通』と評していた。
1914