Happy birthday「ほらよ」
10月6日、今日の分の講義が終わった後いつものようにローの家に来て部屋の掃除やら洗濯やら果てには作るのも買いに出かけるのも面倒臭いという理由だけで平気でメシを数回抜いてしまう恋人の為に数日分の作り置きまで終えたキッドはその間ソファに横たわり医学書を読みふけっていたローの目の前に両手の平から少しはみ出るサイズの白い箱を差し出した
「……?なんだこれ」
「今日誕生日だろ、やるよ」
「誕生日………?誰の」
箱を受け取ったローはそう聞くのが至極真っ当だという風な顔で聞いてきた
“誕生日”というワードを聞けばいくら自分にも他者にも無頓着な恋人と言えど分かるだろうと思っていたが全然ピンともきていない様子なのを見たキッドは無い眉を僅かに寄せた
1987