出会わなければよかったきっと、こうなる運命だった。
ふわふわと浮いているような心地に包まれながら、そんなことを思う。
つくられたいのち。
きめられたおわり。
まがいもののこころ。
すべてがあたえられ、うばわれ、わたしはどこにゆくこともないまま、きえていく。
すぐそばで子どもたちが泣いているのがわかった。でも、赤子である双子の泣き声は聞こえないから、愛らしく眠っているのだろう。子どもたちの温かな涙が、頬にぽつりぽつりと落ちてくる。
泣かないで、と声をかけたいのにのどを震わすことも出来なければ、頭を撫でてやることも出来ない。
なんて、不甲斐ない母親だろう。
...いや、母親なんていう資格すら私は持ち合わせていない。死ななければ、この子たちをこの家から逃がすことも出来ないのだから。
11110