朧月夜の誓い「無惨様には感謝することがあるんだ」
「無惨に?」
転生後に人と人として巡り合い友となり、
そして過去を受け止めたまま恋人となった杏寿郎と猗窩座。
ある夜、一人暮らしの猗窩座の部屋でソファに並んで座り、穏やかな時間を過ごしていた時にこぼれ落ちた猗窩座の言葉に、杏寿郎は思わず眉を寄せた。
「あの時、俺の前に無惨様が現れなければ、
鬼にならなければ、お前には出会えなかった。
それだけは感謝しかない」
あまり感情を感じない、彼らしくない淡々とした言い方。
杏寿郎は今度は何故だが猗窩座が消えそうな気がしてしまいその肩を己の方に引き寄せた。
それに逆らうことなく猗窩座は杏寿郎の肩に頭をコツンと乗せると
「俺にとっては、もう一人の親みたいな感じだな。
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