ビデオ屋の手伝いに来てもらったライトさんが
珍しく自分から話を振ってきた
「店長 虚狩りのとこのちっこいのいるだろ」
「蒼角ちゃんのこと?」
「いや鬼の子じゃなくて人間の」
「…悠真のこと?」
「多分そいつだと思うんだが 俺はえらく嫌われてる
らしくてな
生命の危機に関わるから 半径5m以内に近寄るなと言われたんだ」
「生命の危機とは大事だね」
「そんなに俺が嫌なのかと聞いてみたらな
『何ひとつタイプじゃないですよ 顔以外』だとよ
好かれてるのか嫌われてるのか どっちだと思う?」
「それはアレじゃないかな 推しに認識されたくない
オタクの心境」
リンが余計な口を挟んできた ああもうややこしくなる
「ライトさんで例えるなら ビリーの事見てたいけど
本人には気付かれたくないみたいな」
「ああそれならなんとなくわかるな」
わ か る の か よ
「つまりあいつは俺の顔が弱点ということだな?」
あっ これ悪ノリする時の顔だ
常識人に見せかけたボケはこれだから……!
ルーシーさんバットお願いします
悠真は頑張って逃げて
「よう偶然だな」
「……5m以内に近付くなって言いましたよね」
(ヒィィィィィ 今日も顔がいい!!)
「顔色が悪いんじゃないのか」
「病院にはちゃんと通ってますから ご心配なく」
(今日のファンサ手厚すぎヤバい 死にそう)
「どれ」
(顎クイ!?無理無理無理無理顔近いほんと無理)
「熱は大丈夫か?」
(ぎゃああああああああああ近いんだってば!!!!)
「………………無理」
H.A.N.D.の駐車場で鼻血を出して倒れた悠真と
鼻血を見て卒倒したライトさんが並んで倒れていたらしい
なにやってんだか