恋知らぬ令嬢　っは、っは、っは、と犬のように発せられる荒い呼気。
　覆い被さるその逞しい肉体はミケランジェロの彫刻を思わせる。これが一人の女吸血鬼に与えられた食事が作り上げたのだと思うとなんだか感慨深いような、不思議な心地になってしまう。出会ったばかりの若さだけでなんとか保たれていた肌のハリやツヤも栄養バランスを考えた良質な食事によって磨き上げられ、健全な輝きを放っていた。職業柄あまり陽光に当たらないからか息を荒くして肌を真っ赤に染め上げていなければ、あんまりにも白くて本当に彫刻と勘違いして鑑賞してしまっただろうなと自画自賛を込めて眺めていたら、その獲物を狙う飢えた獣と目が合ってしまい、その瞳に射抜かれてしまった。

Chapter.４ 奔波與背叛兩人即使在馬車上趕往邊境時也沒閒著，伊得一邊幫忙整理記錄著族內事務的各種信件，一邊擔憂地看著艾德蒙特眼下烏青的黑眼圈，他已經整整三天沒合過眼了。

這趟行程裡伊得負責幫忙把回信的信紙折好、抄寫一遍信封上的收件人、再將閱畢的信分門別類揀好，就這麼幾項工作他也是手腕感到痠痛難忍、指頭也因為一直重複地撫平信封摺痕而磨損，更別論日以繼夜在執筆回信吩咐命令的艾德蒙特了。

副團長的掌側都磨紅了，聲音也變得微啞，伊得心疼不已，卻勸不住瘋狂工作的艾德蒙特。

「那些在前線跟後勤勞碌的將士都沒有休息的空閒，我不能為了自己的一己私慾而停下來。」雖然這樣認真工作的副團長是很好……但伊得真的擔心他的身體承受不住。

要不乾脆把人打暈了塞被窩？回想起副團長在軍中的神話事蹟，伊得渾身一激靈，眼角餘光瞄見他冷顫的動作，艾德蒙特向他投來了一個疑問的眼神。

Plethora　世界にはたったひとつ、目に見える愛がある。

***

「牙崎くんの髪って、地毛？」
「……あ？」
　事務所には髪の色素が薄い人が何人かいるけれど、もしも僕とおなじ人がいるとしたらそれは牙崎くんだけだと思ったからこんな質問をした。よく考えたら失礼な質問だったけど、怒られてもいいって思ってた。
　僕の言葉を聞いた牙崎くんは、猫のように周囲を見渡してつまらなそうに口をへの字に結ぶ。ここにはアマミネくんもマユミくんもぴぃちゃんもいないし、僕は牙崎くんにいくつかの和菓子を差し出して、こうして事務所のソファで向かい合っている。それに名前まで呼んでいるんだから、この言葉の向かう先は牙崎くん以外にはないってことは理解してもらえているはずだ。