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    maki72555

    @maki72555

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    maki72555

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    懲りずにまたおにしょたです…。いつか絵にしたい…。こんな分かりにくいの読んで下さる奇特な方…本当にありがとうございますm(_ _)m今度はかっちゃん風邪引いてます。私の中でかっちゃんは、自己管理もちゃんとしてて、風邪なんて引かなさそうなイメージなんですが前回の頼ってほしいデクから思いついたので、もしかしたらという事で…

    風邪ピピッと体温計の電子音が鳴る。
    画面を見るとそこには38.0℃の表示

    熱が出るなんて何年ぶりだろうか。
    今朝、目が覚めると妙に頭が重く、最近使ってなかった体温計のを探し出すのに少し時間がかかった。

    ピンポーン

    インターホンの音が鳴った

    もう、そんな時間か

    壁の時計を確認すると約束の時間きっかり午前10時だった。
    今日はデクが来る日だ。
    週末は必ずと言っていいほど勝己の家に遊びに来る。今日もその予定だった。

    急いで玄関に向かうと足がふらついた。
    さっきより体調が悪化している気がする。

    ガチャッと玄関のドアを開け、デクの姿を確認する。

    デクは、俺の姿を見てぱっと笑顔になったかと思うとそれが一瞬で曇り、驚いた顔に変わる

    どうしたのかっちゃん!?

    俺の体調は素早く見抜かれた。
    隠してもしょうがない。

    わりぃ、熱がある。
    早く連絡すりゃよかったな

    そんなの気にしないで
    …風邪?

    たぶんな。

    病院は…今日…日曜だもんね…

    たいしたことねェわ、寝てりゃ治る

    さっきからデクの眉毛が下がりっぱなしで泣きそうな顔になっている
    こんな顔は見たくない。
    出来るだけ心配させないように普段通りに振る舞う

    だからわりぃけどまた来週な、

    え、
    そんな…という寂しそうな顔になる。
    それを見ないふりして

    帰れ。うつしたくねぇ。
    また連絡すっから

    と、今にも家に入ってきそうなデクを外に追い出して急いでドアをしめた。

    少し経ってから再びドアを開け、外にデクが居ないか確認する。そしてまた部屋にもどった。

    以前、約束の時間より帰りが遅くなった時、寒い夜に玄関のドアの前でずっと待っていた事があった。アイツはそういうやつだ。

    ベッドに横になり、デクのしょんぼり顔を思い出しながら目を瞑った。


    再び目を開けるとカーテンの外は暗くなっていた。
    今朝よりずいぶん身体は楽になった。
    何時だ…と、壁の時計を確認するともう夕方近くだった。

    頭をあげると冷たいシートがおでこに貼ってあるのに気づいた。そして台所の方で音が聞こえる。

    まさか、と思い台所へ向かうと案の定デクがいる。

    あ、かっちゃん…大丈夫…?
    勝手にごめんなさい…でもかっちゃんが心配で…

    これ、鍵…この前かっちゃんの帰りが遅くなる時に借りてたの返すの…忘れてた…ごめんなさい

    そういや、合鍵を貸したのを忘れていた

    あまりにごめんを繰り返されると責めづらくなってくる。

    わーった、もういい。
    それより、なにしてンだ

    おかゆ…作ってる

    作れんのか

    お母さんに…聞いてきた

    梅干しと、塩昆布、持ってきたんだけど
    どっちが良い?

    卵。

    卵!?

    冷蔵庫にある

    使って良いの?

    ああ

    冷蔵庫を開け、卵を一つ取ってデクに渡してやる。

    卵っていつ入れるの?

    最後。カツ丼と一緒だ

    そっか。
    なるほど、と納得しておかゆに意識を向けるデク。

    そんな一生懸命なデクがかわいい。

    眺めているとそれに気づいたデクが

    ここは大丈夫だから寝てて!

    と、ちょっと怖い顔をされ台所から追い出された。
    仕方ないからまたベッドに戻る。



    かっちゃん…おかゆ出来たよ
    デクがお盆に乗せたおかゆをそろそろと持ってきた。

    ご飯をベッドまで持ってきてもらうなんて子供の時以来でなんだかむずがゆい。
    それにデクはなんだかちょっと楽しそうにも見える。
    サイドテーブルに置くと美味そうなおかゆが見える

    うまく出来てるじゃねーか
    と褒めてやると

    へへ…

    と、デクは照れながら嬉しそうに笑った

    さて、食べようとするとスプーンを奪われた。

    かっちゃん、あーんして?

    おかゆをすくってふーふーと冷まし始める

    いよいよ楽しんでるのが分かった

    アホか、自分で食えるわ
    スプーンを奪おうとするとサッと避けられた

    一回だけでいいから…!

    なんなんだよ…

    何のこだわりなのかさっぱり分からない。

    だってかっちゃんのお世話なんてめったに出来ないんだもん!

    それでこんなに楽しそうなのか、ようやく納得した。
    はぁ、とため息をついて
    勘弁してくれ…
    と抗議するも折れてくれず

    お願い、一口だけ

    と懇願される。

    もう、どっちが不調なのか分からない。

    観念して
    一回だけだと伝えると

    うん!

    ぱぁっと花が咲いたようにデクが笑顔になった

    こんな事、他のヤツならぜったいに嫌だが、なんでかこの笑顔に俺は弱い。

    じゃあ…あーん、
    と、デクもあーんと口を開け、スプーンを俺に持ってくる。その口を見ながらなんだか別の意味で、モヤモヤしてきた。俺もいつか同じ事やり返してやると心に決めて同じように口を開けた。


    風邪は次の日には完治した。

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