Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ごしょ

    @gosyo_all7

    👹滅→さねぎゆメイン🌊右
    🏡→ふみいお、あまいお、おせいお他💚右

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 28

    ごしょ

    ☆quiet follow

    遅くなりましてすみません……。エアスケブ依頼でいただいた体調不良ぎゆと看病するいぐろさんのお話です。
    実は私自身直接的な嘔吐描写が苦手なため、そこのシーンがあっさりしてます💦その分ぎゆの弱ってる様子に全振りしました✨
    さねぎゆ前提、なんだかんだぎゆに優しい伊黒さん。

    #さねぎゆ

    熱中症ぎゆとお世話する伊黒さん夏休みはとっくに終わったものの、まだ残暑厳しい日が続いている。特にここ最近は秋とは思えない記録的な猛暑日で、室内にいても冷房なしでは過ごせないほどであった。
    朝の服装チェックを終えて職員室に戻ってきた義勇は、自分のデスクに辿り着く前に大きくふらつき、慌てて駆け寄った実弥に支えられた。

    「……と、危ねェ。大丈夫かァ?」
    「すまない、ありがとう。……少し目眩がしただけだ」
    「貧血かァ?しっかり食べねェと駄目だぞ。体育なんて特に体使うんだからよォ」
    「……ああ。善処する」

    炎天下でずっと立っていたのだから、気分が優れなくなるのも無理ないだろう。同伴している風紀委員の生徒たちは時間で交代させているが、義勇自身は最初から最後まで立ちっぱなしである。改めて、風紀委員顧問という仕事の過酷さを痛感すると同時に、教師が誰もやりたがらない理由が分かった気がした。

    「何か少しでも腹にいれといた方がいい。……お、あんぱんあったわ」
    「だが……それは不死川のだろう……」
    「気にすんなってェ。俺は弁当あるし。足りねェ分は適当に購買で買ってくっからよォ。こういうときは素直に受け取っとけェ」
    「……すまない。ありがとう」
    「おー。ま、とにかく無理すんなよォ」

    義勇は真面目で努力家だが、1人で頑張りすぎてしまうのが玉に瑕だ。そうして無理が祟って体を壊しかけたことも何度かあるため、実弥だけでなく他の教師陣も義勇を気遣い、常に気にかけているのだった。


    そんなある日、実弥に急な出張が入った。
    実弥と義勇はほぼ同棲と言っていいほど頻繁に互いの家を行き来しており、それは自分のいない間に義勇に何かあったらと心配する実弥の庇護欲からでもあった。
    本当なら無理矢理他の教師に押し付けてでも断りたかったが、義勇から「不死川は優秀なのだから、仕事を疎かにしては駄目だ。俺のことなら大丈夫だから」と言われてはおとなしく従うしかない。
    何かあったらいつでも連絡しろ。そう伝えて、実弥はしばしの別れを告げた。

    さて、教師というものは生徒に慕われるに超したことはないが、慕われすぎなのも困りものである。
    この時期はスポーツ大会や体力測定、運動部の大会などの行事が重なっており、義勇はあちこちで引っ張りだこになっていた。
    1つの授業が終わってからも、隙を見ては義勇に声をかけ、空き時間に指導を請う生徒が後を絶たない。気づけば義勇は、昼休憩中や校門閉鎖時間ギリギリまで指導の予約でいっぱいの状態だった。
    その日も義勇は早朝から剣道部やバスケ部の朝練に付き合い、その後はいつもの風紀チェック。授業後は頼まれていた個人指導、昼食を取る間もなく次の授業、放課後は複数の運動部をハシゴと、かつてないほどにスケジュールをびっしり詰めていた。
    夕暮れ時とはいえじめじめと蒸し暑い日で、秋だというのに首筋に汗が伝う。そんな気温の中で食事も水分補給もろくにせずに1日中動き回っていた義勇は、職員室に戻って来る頃には随分と疲れ切っていた。

    「ようやく戻ったか、冨岡。もう生徒たちも全員帰宅したようだな。俺たちもさっさと帰るぞ」

    鍵当番だったため義勇が戻るのを待っていた伊黒は、職員室の椅子に置いてある義勇の鞄を手渡し、電気や空調のスイッチを一通り確認して職員室を施錠した。

    「冨岡は狭霧区の方面だったか。そんな状態で帰れるかね?藤ノ花駅までだが送ろう」

    そう言って伊黒が振り向くと、ぐらりと義勇の体が大きく傾いた。

    「っ、冨岡!?おい!冨岡!」

    咄嗟に抱きかかえるとその体は驚くほど熱く、何度呼びかけても反応がない。時折ぴく、ぴく、と筋肉の痙攣を感じ、どうやら熱中症であると察した。
    養護教員もとっくに帰宅している時間であり、とにかくまずは安静にさせて水分を取らせなければならない。伊黒は自身の車に義勇を寝かせ、キメツ学園職員寮の自室へと急いだ。


    部屋に着いた伊黒はまずエアコンをつけ、ソファーにブランケットを敷いてゆっくりと義勇の体を横たわらせた。拭いても拭いてもなかなか汗が止まらず、頭痛がするのかずっと眉間に皺を寄せている義勇は見ているだけで辛そうだ。

    「冨岡、聞こえるか?脱水は危険だ、まずは水を飲んだ方がいい」

    冷蔵庫に入っていたスポーツドリンクを取り出し、ゆっくり上半身を起こして優しく語り掛ける。
    焦点の定まらない目をうっすらと開けた義勇は、座っているのもしんどいようで、伊黒に支えられながら少しずつスポーツドリンクを口にした。
    数口飲んだところで唇がペットボトルから離れ、義勇は口元を抑え前屈みになった。遠慮しているのか苦しそうに震える義勇を見て、伊黒は机の引き出しからエチケット袋を取り出した。

    「大丈夫だ、気にすることはない。無理は体に毒だぞ」

    袋が用意されたことに安堵したのか、はたまた限界が来ていたのか、義勇は何度か力なく咳き込んだ後に袋の中でえずいた。
    今日1日ろくに食事も水分も取っていなかったのだろう。吐き気はあるものの少量の胃液を出すのがやっとだった。
    申し訳なさそうに眉尻を下げる義勇に何度も大丈夫だ、よく頑張った、などと声をかけ、伊黒は手際よく袋を処理し、義勇の口元を拭ってベッドに寝かせた。

    「とにかく今はしっかり休息を取ることだ。理事長たちには俺の方から伝えておく。気にしなくていいからまずはゆっくり休め」

    普段は誰に対しても素っ気なく冷たい印象を受ける伊黒だが、やはり教師という職業柄他人の変化には敏感である。さらに彼は不死川とは数少ない信頼できる親友であり、そんな親友の恋人である義勇のことは何かと気にかけ、世話を焼いてしまうのだ。

    あいつが心配するから、早く治せよ。お前の元気がないと、こちらも調子が出ないからな。

    心の中で呟き、伊黒は明日帰ってくる予定の不死川にLINEを送った。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works