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    seyakatehirai

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    seyakatehirai

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    ウツハン♀(愛弟子の記憶だけ失った教官)小話です
    中途半端なとこお出ししてますいずれ完成版は別のとこで貼る予定です

    何かこの作品、ほかの作品と似てる、似過ぎじゃない?とかいうご指摘がありましたら教えて下さい!!あまりに酷似していたら消すよ!!!!

    俺の弟子がこんなに可愛い人なわけがない(仮タイトル)「教官、私、教官の事が好きです」
    ウツシが手塩にかけて育てた弟子は彼に向かって、頬を染めながら想いを伝えた。
    「きっと君は年上への憧れを恋愛感情と勘違いしているんだね。俺は君の想いには応える事が出来ないよ。君は妹の様に大切な人だから」
    ウツシは愛弟子の想いを断ち切った。愛弟子は、顔を伏せて、「わかりました、そうですね。きっと教官の言う通りだと思います」と彼の言葉を飲み干した。



    「あら、このお花綺麗ね。持って帰れたらいいのに」
    「お嬢。今そんな事言ってる暇はねぇです。さっさとここを抜けてしましましょう」
    大きな荷物をポポに引かせる商人達。ウツシは彼らの護衛として付き添っていた。
    「残念ね、とっても綺麗なのよ。本当よ」
    よそ見をしながら歩く綺麗なおべべを着たお嬢様は、愛弟子と同じくらいの年頃だろうか。随分と呑気に歩いている。よっぽど親に大切に育てられて来たのだろう。

    彼女を見ていて、ウツシはふと思った。
    もし愛弟子が俺の元でハンターとして修行をしていなかったら、今頃どんな姿だったのだろうか。
    もし愛弟子が彼女の様に育っていたら、どんな事を言うのだろうか。
    俺が、愛弟子と、師弟でいなければ、あの告白はどうなっていたのだろうか、と。
    ほんの少しだけ考えて、頭を振りかぶる。昨日の告白に頭が影響を受けすぎてしまっている。仕事へと集中しなければ。

    ブオォォォォォン!!……

    遠くからモンスターの嗎が。商人達は聞き覚えのない恐ろしい声に戸惑う。
    「い、今の声は一体!?な、なんですか!?」
    「…どうやらバゼルギウスが飛来してきたみたいですね。…急ぎましょう、奴は厄介です」
    「は、はい!」
    ウツシの言葉に商人達はポポを急かして先へと急ぐ。そんな集団の中、先程のお嬢様がふと視界を足元へ向けた。
    「…あら?なんですの、これ?石っころにしては変な形ね…あら、赤くなってる?」

    「ッ!?それに近付いてはいけない!!」

    バゼルギウスの鱗が何処からか落ちてきていた。その鱗へと触れようとしたお嬢様を咄嗟に庇うウツシの背後で、鱗は瞬時に真っ赤に染まり、爆風を生み出した。


    「ウツシ教官が怪我したって本当ですか!?」
    つい先程、水没林でのクエストを終え、帰還してきたばかりのハンター。里は随分と騒がしく、何事かあったのかと傘屋のヒナミに聴くと、どうやら護衛の任務中にバゼルギウスが飛来し、お嬢様を爆発から庇って怪我をしたとの話だという。急ぎゼンチの診療室へと向かうと既に里長やタイシなどが治療室前で待ち構えていた。
    「せ、先輩!!ウツシ教官が!!」
    「うん、話はヒナミさんから聞いた。教官はまだ治療中ですか?大丈夫なんですか?」
    「ううむ、分からん。俺もつい先程話を聞いたからな。どうやら吹き飛ばされて頭を強く打ったとは聞いたが…ゼンチに聞かんとな…」
    里長の言葉にタイシの顔が暗く澱む。「大丈夫だよ、あの教官の事だから、きっと無事だよ」と少年の背をぽんぽんと優しく叩くハンター。しかし、彼女の不安も拭えきれておらず、何処か心に不安を感じていた。
    そんな三人が待っていると、治療室の襖が開く。ゼンチがひょっこり顔を出して「わっ」と驚いていた。
    「すまぬ、ゼンチ。皆ウツシが心配で駆けつけて来てしまった。容体はどうだ?」
    「ニャに、背中に軽い火傷と頭にたんこぶこさえた程度ニャ。相変わらずウツシは頑丈だニャ。折角だし包帯まみれのウツシの顔見て行くといいニャ」
    ゼンチのいつもの飄々とした口ぶり。そこまで怪我は酷くないと聞き三人は胸を撫で下ろす。そのまま部屋に上がると布団に押し込まれたウツシが起き上がる。頭と背中に包帯が巻かれている以外はいつも通りの元気な様子だった。
    「おう、ウツシ、派手にやったなこれは。はは!しばらく休みがいるなこれは」
    「ウツシ教官!心配したっすよ!元気そうで何よりっす!」
    「すいません里長。タイシ君にも心配かけたね。これくらいの怪我、すぐに治るから」
    二人に話しかけるウツシ、相変わらずよく通る彼の声に、ハンターも話に加わった。
    「教官、怪我は痛くないですか?ご無理をなさらずに安静にしてくださいね」
    彼女が話しかけるも、ウツシから返答止まる。何か迷う様に視線が定まらず、口籠る姿に里長が「どうした?」と尋ねると、彼は申し訳なさそうに口を開いた。

    「君は…誰だい?」

    ウツシは彼女へと戸惑いの視線を向けた。初めて見る彼の表情。まるでここへ初めて来た人を見る目。その視線はハンターにとって、とても辛いものだった。


    「一部の記憶の欠乏症ねぇ…」
    「頭打った時、私の記憶だけどっかいっちゃったみたいなんですよね、教官」
    集会所のテラスにて。いつもの場所にウツシはおらず、手すりを背もたれにしているアヤメの隣でハンターはのんびりと川を眺めていた。
    「あの教官が一番大事な愛弟子の事忘れるなんて、明日あたり空から飴玉でも降ってくるんじゃないかい?」
    「はは、それいいですね。私ザル持って外を歩きますよ」
    冗談を交えた会話にハンターは答えるも、表情はどことなく暗いまま。彼女なりにいつも通りに取り繕っているのだろう。それでも、やはり、彼女の動揺はとても大きいものであった。
    「治るのかい?それ」
    「ゼンチ先生にも分からないそうです。明日には思い出しているかもしれないし、ずっと忘れたままかもしれないし」
    「そうかい」
    「でも、忘れてくれてむしろ良かったのかも知れませんね。タイシ君もいますし、いずれ弟子は卒業しないとですし、それに」
    彼女は重たい口を開けない。既にアヤメには言っていた。ウツシに告白をした事も、断られた事も。
    「たとえ記憶を失っても、教官は教官ですから。私はいつも通りクエストをこなせばいいだけなんで!」
    にこりと笑うハンターを見てアヤメは何も言い出せなかった。酷く悲しそうに笑う彼女には、どんな優しい言葉をかけてもきっと傷口を広げるだけ。ただ黙って集会所から出て行く彼女の寂しそうな背を見送る事しか出来なかった。


    それから数日後、集会所にウツシが戻って来ていた。
    「ゼンチ先生にあと二日は寝てろって言われてなかったっけ?」
    「こんなに元気が有り余ってるからね!寝てるだけじゃあ性に合わないよ!ゼンチ先生の診療所をお面だらけにもしたくないしね!」
    ハナモリの背後にはいつもより倍近くの量のお面が飾られていた。よっぽど暇でずっとお面を作り続けていたらしい。いくつか新作も見受けられ、随分とハナモリの居心地が悪そうだ。
    「なぁ…俺、ゴシャハギとベリオロスに挟まれて怖いんだけどさぁ…」
    「ごめんねハナモリさん!後でロンディーネさんがまた買い取りに来てくれるから!」
    「なるべく早く頼むよ…」
    ここまでの話を聞くと、本当にいつも通りの教官である。本当にあのウツシ教官が、まるで呼吸するかの様に毎度熱弁を振るっていた愛弟子の事をすっぽりと忘れてしまうのだろうか、と訝しむアヤメ。しかし、集会所にハンターが入ってきた途端に何故か彼はジンオウガのお面を被り出した。
    「あれ?教官、もうお仕事して大丈夫なんですか?」
    「や、やぁ!…えーと、愛弟子、さん、こんにちは!」
    聞いたことの無いくらいの片言な言葉使いである。これほどまでに愛弟子と言うのを躊躇うウツシを今まで見た事がない。
    「…あの、まだ記憶戻ってないんですよね?無理しないで大丈夫ですよ。教官が言いやすい様に呼んでください」
    「ご、ごめんねヤコさん…やっぱり、君の事だけはどうしても、どうしても、思い出せなくて…」
    ウツシがハンターの名前を呼ぶ。ヤコさん。あまりに他人行儀すぎる話し方。アヤメだけでない。ウツシが愛弟子の記憶を失っていると知っている集会所の人々でも、この実態をなかなか飲み込めずにいる。
    「頭を打ってるんですから仕方がないですよ。無理して記憶を思い出さなくていいですからね!いつも通りの教官でいてください!」
    「あ、あぁ、う、うん。ありがとう、ヤコさん。それで、今日は、どうしたんだい?」
    「一応今日受けたクエストの報告をしに来ました」
    渡されたクエスト表に目を通すウツシ。未だお面を被ったままだった。
    「どれどれ…えっ…ヌシリオレイアと、ヌシジンオウガ…テオテスカトル…!古龍まで討伐出来るのかい、君!?」
    「え…あ、はい」
    「凄いなぁ…君、相当腕が立つみたいだね!うん、報告ありがとう、ヤコさん」
    「…はい。それじゃあ、教官、また明日」
    ウツシの言葉を聞けば聞くほど、愛弟子の記憶の消失を思い知らされる。彼女の功績なんて皆耳がタコになるくらい聞かされた。この男から。おそらく愛弟子である彼女もウツシのリアクションに戸惑っていたのだろう。驚く男の声に、目を伏せてしまっていたのだった。
    「…ウツシ教官、なんであの子の前でお面つけたの」
    「いや、その、なんか、申し訳なくて…」
    「なるべく普段通りにいてあげな。変に取り繕う方があの子にはキツいから」
    どうして愛弟子の記憶だけなくなってしまったのか。ウツシにとっては大切な記憶ではなかったのだろうか。誰に問いただせばいいのかわからない疑問ばかり出てくる。自分の目前の男がウツシである事すら疑いたくなる。いっその事偽物なら良かったのに。
    「…ふぁふぁふぇふぁん?ふぁんふぇふぉふぇふぉふふぇふふぇっふぇんふぉ?」
    (アヤメさん?何で俺の頬つねってんの?)
    「アンタ本当はウツシ教官に化けたブンブジナじゃない?」
    ぎゅう、と割と強めにつねっても男は相変わらずの皮のツラであった。



    ウツシの頭から愛弟子の記憶だけが置き去りにされたまま、カムラの里では穏やかな日々が続く。
    「や、やぁ、ヤコさん。今日も、クエストかい?」
    「はい。また終わったら報告しに行きますね、教官」
    あれほど仲の良かった二人の会話は淡々としたものになり、ウツシは相変わらず彼女の前ではお面をつけたまま。アヤメは心配してハンターに話しかけても、「大丈夫ですよ」と答えるだけだった。
    「だから、いい加減お面取れって言ってるでしょ」
    「あ、あはは、つい、彼女の前だと、気を使っちゃって」
    ぽりぽりと後頭部を掻く男も申し訳ないとは思っているのだろう。しかし、記憶は戻ってくる気配はまるでない。
    「…オテマエさん、何してんの?」
    「いや、もう一回くらい強めに殴ってみたら記憶戻ってくるんじゃないかニャと」
    「オテマエさん武器が洒落にならない。出刃包丁で殴られたら俺も流石に生死の境目にまで行っちゃう」
    いつか、記憶が戻る。そう信じる事しか出来ないのはあまりにも歯痒い。しかし、どうしようもない。皆、ウツシの前で愛弟子の話をして、思い出さそうととはしていた。しかし、彼の頭には未だに届かず。失せたものがどれほど尊い物だったのかさえ気付かずじまいであった。

    「ウツシ教官、こんな感じっすか!」
    タイシは熱心に木刀を振る。左右に、上下に、たまに教官の腰を強打しながらも、順調に訓練を重ねていく。今日の訓練は修練場。絡繰蛙の前で、敵を想定しての攻撃練習。蛙はカタカタと手を揺らしてタイシをこまねいていた。
    「うんうん、大分良くなって来たね!よし、今日はここまでにしよう!」
    「うっす!ご指導ありがとうございましたっす!」
    一通りの訓練を終え、タイシの一礼にウツシは満足そうに頷いた。あの事件から数週間が過ぎる。それでも、ウツシの調子は相変わらずだった。
    「ウツシ教官、やっぱり、先輩の事思い出せないっすかね」
    里の人々からいやと言うほど聞かれた言葉だろうとは思っていても、タイシはどうしてもウツシに尋ねておきたかった。あの先輩、教官にとっての一番弟子について。
    「…ごめんね、まだ、全然思い出せないんだ」
    やはり返事は想像通りのものだった。思い出せない。分からない。彼も飽きるほど答えてきただろう。
    「そっすか。まぁウツシ教官の事だから、いずれひょっこり記憶が戻ってくるっすよ!何てったってウツシ教官の愛弟子といえば、先輩っすから!!」
    ニッカリと笑うタイシ。彼も彼なりに気を遣っているのだろう。何せ教官の二番目の弟子であり、いずれ自分も彼女と肩を並べるのを目標にしているのだから。
    「…タイシ君は、ヤコさんの事、よく知ってるのかい?」
    「うっす!憧れの先輩っすからね!!」
    ウツシはキョロキョロとあたりを見回す。修練場なんて滅多に人がやってこない場所なのだがそれでも気になるらしい。右みて、左見て、さらに右。そしてタイシの耳元でこっそりと話しかけた。
    「ヤコさんって…その…恋人、とか、いたり、するのかな…?」
    「えっ」
    あまりに予想外な質問過ぎて素っ頓狂な声を出すタイシ。ただでさえ帷子で隠れている口元をさらに手で隠している男がチラリとタイシの様子を伺っていた。
    「いや、ほら、あれほど…その、可愛いでしょ?彼女…だから、その、里の中に、恋仲の男性がいたりとかさ、ハンター仲間とかに、恋人がいたりだとか、しても、おかしくないでしょ?」
    「…いないっすけど…何でウツシ教官が先輩のそんな事気にしてるんすか?」
    う、と回答に困るウツシ。再びあたりを見回してもう一回タイシに話しかけた。
    「…師匠と弟子の間だけの秘密にしてくれるかい?」
    「うっす」
    「…絶対に秘密だよ??」
    「うっす」
    「絶対に絶対だよ???」
    「だから何なんすかウツシ教官言いたい事は」


    「その、俺、ヤコさんを見てると、その、あの、胸が、きゅ〜って、苦しくなって、ドキドキして、キュンキュンしちゃって、彼女の顔見て、まともに話せないんだよね、俺」

    「……………」

    呆然とするタイシ。修行中のハンター見習い少年に本音をぶちまけた成人男性教官は座り込んで人差し指同士を目前でツンツンしている。

    「…つまりウツシ教官は先輩の事好
    「わー!!違うよ!!そういうんじゃないよ!!ただ、ちょっと、かわいいなぁ〜、とか、お団子食べてるほっぺぷにぷにしたいなぁ〜、とか、そういう、ヤコさんが、気になる、そう!気になるだけなんだよ!!」

    本人がいくら否定しようにも煙上げるほど顔を真っ赤にしている時点でまるで説得力がない。図体のデカいセイハク君状態である。そんな迷える男は地面にひたすらのの字を書きながらうじうじしていた。
    「絶対に秘密だからね、これ」
    「う、うっす」
    タイシ少年は目前の恋心を拗らせた成人男性から指切りまでされてしまう。約束破ったらサボテンを飲まされるらしい。ディアボロスか何かにされてしまうのだろうか。
    (先輩…俺、この人どうすればいいっすかね…)
    少年はあまりに重たい秘密を背負わされて、一人天を拝んだ。嫌と言うほど暑い日差しが照り付け、滝の水音は暑さを紛らわすには丁度いいくらいだった。
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