まさか自分まで覚えられていなかったなんて思っていなかった女騎士がかわいそうな小話カムラの里の『猛き炎』と呼ばれる英雄の兄妹、アサヒ(旭火)とカレン(火煉)がエルガドへと招集され数週間が経った。狩猟の更なる高みへと駆け上りながら拠点で巻き起こる問題を解決し、もういくらか周囲の人間とも溶け込んで来たであろう頃合い。丁度一隻の船が付き、クエストを終えた英雄の兄の方が拠点へと舞い戻って来た所である。
「おっ、いいところに帰ってきたな!ちょっといいか?」
雑貨屋へと向かう兄を引き止めたのはエルガドの地の教官であるアルローだった。猛き炎は呼びかけに答え教官とついでにおそらく組手の練習をしていたのであろう赤髪の騎士の元へと向かえば、例の依頼の件だと厳つい男は彼に話しかけた。
「お前さんは仕事が早くて助かる。バゼルギウスの捕獲、早速ギルドに報告が上がってたぜ」
2262