六月二十三日 午前三時。
まだ世界が寝静まっている中、炭治郎はごそりと起きだした。赫黒い髪はまだ闇に黒く、その下の瞼はまだ重たげに開ききらない。とろんとした柘榴色の瞳がゆるやかに隣へと向けられる。
掛け布団とシーツの隙間から、金色のふわふわした髪がこぼれている。
すう、すうと規則正しく聞こえてくる寝息に、満足そうに瞳が緩んだ。
そっと伸びた指が髪をひとふさつまみあげる。指先にくたりと甘える髪先の赤。
ぅーん……と寝返りを打たれると、薄手の羽布団の間から肌があらわになる。筋肉のしっかりついた肩、くっきりとした鎖骨、太い首筋、触れると見た目より柔らかい胸筋。
そこに散らされた赤い虫刺されのような跡。肩口には歯形がそれとわかるほどについており。
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