台本にかこつけて今度の文化祭で、演劇部はオリジナル劇を披露することになった。そして俺は、現代文の成績が良いという理由だけで作家に選ばれてしまったのだ。
ざっと大まかに書き上げた俺は、家のメイドと読みあわせをしながら練り上げることにした。
内容は青春ラブコメ。
実は、俺はメイドの詩織さんに片思いをしていて、すごく気まずい。
内心バクバクしながらも、掛け合いをしながら赤ペンでチェックする作業は難なく進んでいく。
最後に挟んだキスシーンで「ちゅうっ」と間抜けな読み上げをして一段落ついた。
「ふぅ、終わったー」
俺は大きく伸びをした。
「お疲れ様ですわ」
「ありがとう。助かったよ」
俺はソファに座りながらそう言った。
そして少し間を置いて、俺の隣に座っている詩織さんが口を開いた。
1077