訪日客に人気「日本刀の試し切り」体験、銃刀法抵触恐れで中止…関係者は落胆隠せず『
「居合道発祥の地」を掲げる山形県村山市で行われていた日本刀の真剣を使った試し切り体験が、銃刀法に抵触するとして今年1月から急きょ、実施できなくなった。
外国人観光客らに好評で、国から表彰された人気企画だっただけに、市観光物産協会は落胆を隠せない。(山形支局 常陰亮佑)
居合道は、鞘(さや)から刀を抜いて攻撃するまでの一連の所作を通じて、心身を鍛える武道の一つ。居合道の始祖とされる林崎甚助重信(はやしざきじんすけしげのぶ)(1542~1617年)が同市出身で、市内にある熊野居合両神社(通称・居合神社)にまつられている。
市は2017年、観光客らが真剣で畳筒を試し切りする体験プログラムを企画。県警に問題ないことを確認し、同協会に委託して始めると「サムライ体験ができる」と評判になり、国が主催する20年度の「スポーツ文化ツーリズムアワード」で武道ツーリズム賞に選ばれた。
しかし、真剣を使った体験会は全国各地で行われるようになったことなどから、警察庁は昨年12月25日付で、銃刀法に照らして「不特定多数の観光客等が、一時の遊興目的により登録刀剣類を使用する行為等は、原則として許容されない」とする従前の解釈を通達として全国の警察に改めて示した。
同協会の矢口勝彦会長は「試し切り体験は主力の企画だっただけに痛い」と話す。協会は真剣による抜刀術の見学に切り替え、解説内容を充実させるなどの対応を取った。
秋田県小坂町の道場「武芸道 結―MUSUBI―」も、巻きわらを真剣で切る体験プログラムを中止した。県警から通達に従わずに体験を続けると道場が重大な責任を負う可能性があると言われたという。90分間の「侍体験」の最後に行われる目玉企画がなくなり、担当者は「予約が減った」とこぼす。
千葉県山武市の宿泊施設「杉之家」では今年3月、真剣を使った抜刀術の体験プランを企画し、ホームページ上で案内を開始したが、4月下旬にページを削除した。
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