アズールの誕生日・後編その1珊瑚の海にいた時の夢を見た。
ミドルスクールに上がってから初めての誕生日、ジェイドとフロイドはその日が僕の誕生日だということを知らなくて、どうして教えてくれなかったんだと文句を言われた。母のリストランテでやってくれた誕生日パーティーに二人も来て、お店のみんなには驚かれた。坊ちゃんの年相応な姿を見るのは久しぶりですって泣かれたとき、ジェイドとフロイドの前で僕はどんな顔をしているのかと鏡の欠片とにらめっこをした。それをジェイドとフロイドに見つかって笑われて……。
目を覚ますと、まだジェイドもフロイドも起きていなかった。ベッドから出ようにも、二人からぎゅっと抱きしめられていて身動きが取れない。仕方がないから、二人の寝顔をじっと見てやることにした。こう見ていると、本当に顔が良くていっそ腹が立つ。こんな無防備な姿でいるのが不思議で、くすぐったいような不思議な気持ちになった。くる、と首の向きを変えてフロイドの方を向くと、顔と顔の距離が近くてドキドキと心臓が音をたてる。つい数時間前までもっと恥ずかしくなるようなことをしていたのに、と思いだしそうになってドツボにはまりかけたその時。唇と唇が触れて、おはよう、と笑いかけられる。
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