てるてる坊主『てるてる坊主、てる坊主、あーした天気にしておくれ』
子供達の笑い声が響く。白い布切れを持って、思い思いの形に丸めて顔を描く。
出来上がったてるてる坊主は大人達の手で本拠地のあちこちの窓辺に吊るされた。
ノースウィンドウ周辺は雨の日が続いていた。陽光は久しく顔を覗かせていない。
窓を叩く小さな雨粒、湿気を含んだ髪や服。土や石畳が濃く色づく。あちこちで大きな水溜まりが出来上がっていた。
鬱屈した気分は士気を下げる。晴れ間を求めて、てるてる坊主に願いを込めた。子供達が歌う。大人達も一緒に祈った。
てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
それから半刻ほどで、天気はみるみる好転した。
ひとたび雨足が弱まれば、澄んだ空気を求めて皆が一斉に窓を開け空を仰ぐ。晴れ間を求めて子供達が一斉に手を伸ばし駆け出した。晴れた晴れたと、街が一気に活気付く瞬間。
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