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遠くで、何かが倒れる音が聞こえた。硝子が弾け飛ぶような音だ。
次いで、周囲の空気が熱くなっていくのを感じる。肩で息をしていたフリックの喉を通る異様な空気。
帝国軍にも解放軍にも、城に火を放つメリットはない。開放的ではない城内という空間で派手に戦闘を繰り広げた結果、照明が落ち絨毯かカーテンに燭台の火が移ってしまったのだろう。
長くこの場にいては危険だと、本能が警鐘を鳴らしている。移動したいのは山々だが、既にフリックの体は己では自由に制御できない状態となっていた。
肉を抉る飛び道具。焼け焦げた臭いに混じる、鉄の香。意識しないように努めてはいたものの、それは確実に、フリックの体力を蝕んでいた。
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