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    きみに捧ぐユートピア
    フロ監♀
    🦈🦐
    前回の続きです、今回は🐈が活躍します。

    「え……す、すき……?」
    「うん。オレ小エビちゃんのコトが好きなんだけど、でも小エビちゃんって別にオレのコト好きじゃねーじゃん? だからどうやったら好きになってくれるか教えてもらおうと思って」

     フロイドの口から紡がれた言葉に耳を疑った。好き。これは、告白なのだろうか。しかしユウの知っている告白と違うような気がする。
     告白というものはもっと相手のことを想ってドキドキして悩んだり苦しんだり、それでいてぎゅっと胸を掴まれるような切なさと甘酸っぱさ、それらの心の内を相手に知ってもらうことで、これからの自分たちの関係性を変えていきたいというアピールの一つという認識だった。少し少女漫画思考かもしれないけれど、好きな人に告白する時の胸中とはこのような感じだと思う。多分だけど。
     知ったような口ぶりで話しているけれど、実のところ誰かを好きになり告白をしようと思った経験がないので、これら全ては少女漫画から学んだ知識になる。漫画が好きで少年少女問わず色んな漫画を見てきたので経験はなくとも知識だけなら人並。特に自慢にもならないけど。登場人物は告白をしようか思い悩んでいる者もいれば連載一話目から告白をして振られてしまった者もいて、そんな中で好きな相手本人にどうやったら好きになってくれるのかと尋ねるパターンはあまり読んだことがないので、頭の中が真っ白になった。
     しかもそれを尋ねた当のフロイドは、ユウがフロイドのことを恋愛として見ていないことを分かった上で尋ねてきたので、この人魚の先輩のメンタルは一体どうなっているんだろうとユウは瞠目した。だって、その時点で『好きになれないです、ごめんなさい』という感じで振られる可能性だって十分にあるわけだし。
     けど、フロイドのことだから小エビにどうやったら好きになってくれるのかあれこれ自分で考えるより、本人に直接聞いた方が手っ取り早いと判断したのだろう。面倒でまどろっこしい事を嫌うフロイドらしいといえばらしいかもしれないが、突然告白っぽいことを言われた身としては心臓が止まる思いだ。

    「え、っと……」

     どう返したらいいんだろう。決してフロイドのことが嫌いだとかそんなことはない。身長が高く見下ろされると威圧感があるしちょっとだけ恐いけれどそれは同じ一年のジャックも同じだし、こちらから変なことをやらかさない限り、フロイドは至って普通の……いや、ちょっとだけ恐い先輩止まりだ。
     何か言わなきゃ、と思えば思うほど何も思い浮かばなくて次第に目の前の先輩の表情が不機嫌になっているようにも見えて、プレッシャーで変な汗が出て止まらない。

    「フロイド、おまえユウのこと好きだったのか?」

     何も言えなくて返答に詰まってしまったユウにグリムが助け舟を出してくれた。一心にユウへと注がれていた視線がグリムの方へと動く。じっと見下ろしていたかと思うと、フロイドは膝を折って小さな魔獣と視線を合わせた。

    「ウン、そーだよ。オレ小エビちゃんのコトが好きなの」
    「それってつがいにしてぇとかそんな感じのやつか?」
    「最終的にはそうなりてーかな。人間ってつがいになる前にコイビト期間とかそういうのがあるってカニちゃんに教えてもらったから小エビちゃんのカレシ? まずはそういうのになりたいの」
    「人間の恋愛とかめんどくせーんだゾ。たまにユウが少女漫画とかいうヤツ読んでるけど人間同士がごちゃごちゃ揉めてて全然つまんなかったんだゾ」
    「ねー、人間の恋愛って面倒だよねぇ。なんで恋人とかあんのか意味分かんない。結婚と恋人が別ってのも理解できねーし」

     本人そっちのけで人外同士が意気投合してしまった。あれやこれやと陸の恋愛についての不満を言い合っている姿は見るからにミスマッチだ。一方は猫のような魔獣に、もう一方は海に棲むウツボの人魚だ。

    「ねーねーアザラシちゃんは小エビちゃんは何をしてくれたら喜んでくれる? もしくは嬉しいものでもいいから教えてよ」
    「そんなの簡単じゃねぇか!」
    「え、ちょ、グリムなに言い出すつもりなの」

     グリムに視線を向けて咎めるように言うが、彼の口は止まらない。ユウがグリムの口を塞ぐよりも早く、フロイドに向けて口を開いた。

    「ユウは少女漫画見ながらよく『私もこんな風に優しくされたいな』てブツブツ言ってたからユウに優しくしてやるときっと好きになってくれるんだゾ!」
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    はとり

    PROGRESSフロ監♀
    魔法薬で五歳児くらいにされてしまったフロイドと、その世話を任されてしまった監督生♀のお話。(付き合ってる設定)
    できあがったら本にしたいなぁとか考えてます。
    監督生♀目線、
    「監督生さん、しばらくの間フロイドを宜しくお願いしますね」
    「……分かりました」

     ニコやかな顔でそう言い残した長身の男は、こつこつと靴音を響かせてオンボロ寮を後にした。
     残されたのは、引き攣った表情のまま男の背中を睨みつける女……私と、その隣で白目をむいている相棒のグリム、そして私の足元でグリムの毛をモフモフ触って遊んでいるフロイド先輩。フロイドはフロイドでも、その姿はなんと五歳児まで退行してしまっていて、十七歳の面影はほとんどない。大人が子供に退行してしまうなんて、私の住んでいた世界では考えられないことだ。アニメや漫画でしか見たことがなかった出来事がいま、実際目の前で起こっていて、何度見てもフロイド先輩は子供の姿のままだ。どうしてこうなったんだろう。魔法が当たり前に存在する世界でそんなことを考えるのは無駄な労力だろうか。考えても答えは出ないという結論に至り、私は考えることを放棄した。
    「ねぇーこえびちゃんこえびちゃん。ジェイドどこいっちゃったのぉ?」
     きゅっと服の端を引っ張られる感覚を覚えて、目線を下へ向けた。小さなフロイド先輩が不安そうに私の顔を見上げる。いつものフロイド先 6881

    はとり

    PROGRESSきみに捧ぐユートピア
    フロ監♀
    🦈🦐
    前回の続きです、今回は🐈が活躍します。
    「え……す、すき……?」
    「うん。オレ小エビちゃんのコトが好きなんだけど、でも小エビちゃんって別にオレのコト好きじゃねーじゃん? だからどうやったら好きになってくれるか教えてもらおうと思って」

     フロイドの口から紡がれた言葉に耳を疑った。好き。これは、告白なのだろうか。しかしユウの知っている告白と違うような気がする。
     告白というものはもっと相手のことを想ってドキドキして悩んだり苦しんだり、それでいてぎゅっと胸を掴まれるような切なさと甘酸っぱさ、それらの心の内を相手に知ってもらうことで、これからの自分たちの関係性を変えていきたいというアピールの一つという認識だった。少し少女漫画思考かもしれないけれど、好きな人に告白する時の胸中とはこのような感じだと思う。多分だけど。
     知ったような口ぶりで話しているけれど、実のところ誰かを好きになり告白をしようと思った経験がないので、これら全ては少女漫画から学んだ知識になる。漫画が好きで少年少女問わず色んな漫画を見てきたので経験はなくとも知識だけなら人並。特に自慢にもならないけど。登場人物は告白をしようか思い悩んでいる者もいれば連載一話目から告白をし 1815

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    TRAINING「きみに捧ぐユートピア」
    フロ監♀🦈🦐
    🦐のことが好きだからどうやったら好きになってくれるか教えて、て本人言うところから始まる話。
    その日は特に代わり映えのない日だったと思う。
     いつものように目覚ましと共に起きて、グリムと共に学園へと向かう。途中でエースとデュースに会い、他愛のない話をしながら一緒に教室へ向かい、一限目の授業の準備をする。お昼になったら大食堂へ向かって肉が食べたいとごねるグリムをなんとか宥めて、話題に花を咲かす。一日の大半を四人で過ごし、放課後はエースやデュースがクラブ活動があるとそれぞれの部へ行ってしまうのでユウはグリムと共にハーツラビュルのお茶会へお邪魔したり、サバナクローのマジフトの見学をしたりと色々な過ごし方を選んでいた。たまにグリムが補習を受ける羽目になったときに、逃げださないよう監視役に努めたり。この世界でも、ユウは図太くしぶとくそれなりに日々を謳歌していた。

     今日は、放課後になると部活へ行ってしまった二人を見送り、グリムと一緒にオンボロ寮へと向かっていた。たまには早く寮へ帰ってのんびりとするのも悪くない、という意見が珍しく一致したのでサムの店でお菓子をたくさん買った。単価の安い駄菓子を紙袋いっぱいに買い込み、ほくほくしながら足取り軽やかにグリムと歩いていた時だった。

    「ん? オ 1920

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