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    motto_tabetai

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    カルデアの金綱なれそめ話

    #金綱
    goldenRope

    金時が綱推しマスターのカルデアで恋をする話(仮)

    綱がカルデアに喚ばれた。平安京の一件から一月ほどが経っていた。
    カルデアのマスターたる立香は、天覧聖杯戦争をめぐる特異点での戦いの中で綱の人柄に思うところがあったらしく、待ちわびた再会を喜んでいた。金時同様、その顛末を覚えていない綱も、初めて会うはずの少女の歓迎ぶりに面映ゆく応えていた。

    起伏の少ない、穏やかな振る舞いで、綱はカルデアに静かに溶け込んだ。生前から見れば遥か未来の風物、異国の英雄に怪物、初めて見るものに出会うたび、ことさら言葉にはせずとも、興味深げに小さく眉を上げた。
    頼光をはじめ源氏や日の本ゆかりのサーヴァントと話せば幾らか和やかに、鬼や化生たちには生真面目に隔てをおいて、茨木とはなるべく鉢合わせぬように。ときには食堂で腕を振るう料理自慢たちと談笑する姿を見ることもある。

    そんな中でも、共に過ごし言葉を交わすことが多いのはやはり立香だった。
    常に鍛錬を欠かさず、冷静沈着の姿勢を崩さない、しずかに光る一振の太刀のような綱のありかたを、立香は尊敬しているらしかった。クエストに出ても、配下たる綱にむしろ教えを乞うように、戦術について話し合った。ふたりは日ごとに信頼関係を築いた。主に相対する綱の表情が柔らかくなったのがよくわかる。

    (……いいことじゃねえか。最高だ)

    金時は声なく呟いた。頼光四天王筆頭と称えられた綱の凄さは身をもって知っている。新たな世界で、新たな主のもとで、その能力を存分に発揮しているのだ。
    弟分としてもおおいに喜ばしいことだ、その思いに嘘はないのに、思わず、酒瓶の首を握る手に力が篭った。

    聖杯を賜ったと聞いた。
    魔力によってさらなる強化がほどこされ、古今東西の猛者賢者がつどうこのカルデアの中でも、最も強き者の一角に位置することになった。兄貴分たる綱が。
    まあまあ、と破顔する頼光の横で、金時もおおいに誇らしかった。ひとしきり皆で喜びあったその夜、少し前に海賊たちと飲み交わした際に誰かが持ち込んだ酒が一本、寝室に残っていたと思い出して、兄ィと祝杯でもあげるか、と思ったのだ。
    綱の姿を見かけて、呼びかけようとしたところで、その視線の先に立香がいるのがわかった。綱も微かに笑みながら応えていた。話し中なら邪魔しちゃ悪いな、残念だが出直そう、そう思って、踵を返そうとしたはずなのに、暫し足が動かなくなった。

    (……?)
    和気藹々とした光景に似合わぬ、なにかもやもやとしたものが胸に去来する。
    臨戦態勢であれば気付かぬはずもない距離にいる金時に、綱は気づかず、こちらを見ることもない。
    (……なんだそりゃ、オレは、何を)
    後ろめたい、誰かに見咎められたくない、という思いが突然湧いて、金時は慌てて二人に背を向け、もと来た廊下を戻る。

    (……今のは、何だ?)
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