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    mizutokusa

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    ポニテ先生の日!!!

    defender先生の肉体派そうなところが好き「スティーブン!」
    アメリカは元気な声を上げながら、隣を歩くストレンジの腕を引っ張った。引っ張られたにも関わらず、ストレンジはよろけることもなく、歩みを止めた。
    「ん?」
    「アイス売ってるよ!」
    アメリカが指さした先では、公園内のキッチンカーに人の列ができていた。三段アイスを大事そうに抱えている子どもたちがよく見える。今日のような暑い日に、アイスは確かにぴったりだ。
    「アイス食べたくない?」
    見上げてくるアメリカに、ストレンジはふふっと笑った。不安そうに見上げてくるアメリカの頭を大きな手で撫でた。
    「3段と3段で6種類食べられるな」
    ストレンジの言葉に、アメリカは弾けるような笑顔になり、キッチンカーへ走っていった。その後ろをストレンジは歩いていく。

    彼の名はドクター・スティーブン・ストレンジ。現至高の魔術師だ。以前は有名な神経外科医だったが、交通事故に会い、指に大けがを負い、医者を引退した。指を直すために、彷徨っていたところで、前至高の魔術師と出会い、魔術への道へ足を踏み入れた。
    もともと持ち合わせていた記憶力と、昔から運動好きで体力には自信があった彼は、みるみると実力をつけ、この世界で最強の魔術師となっていた。

    「わー、すごい!」
    目的の三段アイスを手に、アメリカは感嘆の声を上げた。一番上のイチゴアイスは、太陽の熱を受けて、少し溶け始めている。
    「座って食べるか」
    公園のベンチを指さしたストレンジの耳に、女性の悲鳴が届いた。はっと声をした方を見ると、女性がしゃがみ込んでいる。
    「アメリカ!持っていてくれ」
    アメリカに己のアイスを託すと、ストレンジは走りだしてしまう。
    「スティーブン!私も…」
    とアメリカが言い終わるころには、ストレンジはすでに女性の側でしゃがみこんでいた。そしてまたすぐに走りだしてしまう。
    「もー…」
    とりあえず日陰でアイスを守ることに専念するかと思ったアメリカの手元で、アイスに冷たい冷気が吹きかかっていることに気づいた。小さなサークルの向こうは雪山のようだ。ちゃっかりそこの対策はしっかりして行ったらしい。
    「はいはい、待ちますよ」
    アメリカは先ほどストレンジが指さしたベンチに腰掛け、彼が帰ってくるのを待つのだった。

    女性の話を聞くには、ひったくりに会ったそうだ。あっちに…と指さした方に走り出す。公園の柵を飛び越え、道路に出ると男が走り去っていくのが見えた。ストレンジはその背を追った。人を避けつつ、男を追う。振り返った男がストレンジに気づいたのか、建物の中に逃げ込んだ。建物の入り口まで来て、魔術を展開する。男は階段を上がって屋上に向かっているようだ。サークルで屋上につなげて、先回りをする。
    「なっ?!」
    屋上に勢いよく飛び出してきた男は、屋上で待っていたストレンジに驚愕の声を上げた。
    「それを返しなさい」
    手を出すストレンジに、男は視線を彷徨わせると、走りだしてしまう。
    「あ、おい!こら!」
    男は勢いよくジャンプし、隣の建物に移ってしまう。そのまま逃げようとする男をストレンジは魔術を使わず、追いかける。忍者のように逃げる男を、ストレンジも追い続ける。まるでパルクールだ。壁を登り、飛び降りる。外付けの階段を落ちるように下っていく。息切れしつつある男の後ろを、ストレンジは息を乱すことなく追いかけた。ハイレベルな鬼ごっこは、男の足腰が耐えられず、盛大に倒れたことにより終幕となった。ぜぇはぁと息を繰り返す男の横に、2階からスタっと飛び降りたストレンジがしゃがみ込む。
    「その鞄は返してもらうからな」
    「はいぃ…」
    「アイスが待ってるんだ。警察には一人で行ってくれ」
    そう言って、倒れ伏す男は地面に吸い込まれた。無事に警察署前で倒れている男を見届け、ストレンジはサークルを閉じた。

    鞄を女性に返した後、アメリカのところにストレンジは戻った。
    「お待たせ」
    「あー!またズボン破ってる!」
    「あれ?」
    あちこち擦りむいたジーパンは、砂だらけで、膝のところが破れてしまっている。服もどこかに引っ掛けたのか、穴が目立った。
    「怪我はしてないの?」
    「当たり前だ」
    破けたところにストレンジが手を当てる。撫でるように動かして、彼の手が離れるころには穴は完全にふさがっていた。
    「魔術師って便利だよね。…教えてくれればいいのに」
    「アメリカには必要ない」
    「いつもそう言うけどさ…」
    「君のことは守るさ」
    そう言って不満そうな顔をしているアメリカの頭を撫でながら、ストレンジは笑った。
    「スティーブンって人たらしだよね…」
    「なぜ…そうなる…」
    不思議そうな顔の彼がおかしくて、アメリカは噴き出してしまう。不老と聞くから、きっと見た目年齢よりは年上なのだろう。それでも、子どものように表情がコロコロ変わり、わかりやすい。笑いが止まらないアメリカを置いて、アイスを食べるストレンジは、満足そうに笑みを浮かべた。
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