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    mizutokusa

    @mizutokusa

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    mizutokusa

    DONEお題「通り雨に降られてその中ではしゃいで風邪をひくトニスト」です!ありがとうございました。なんかシリアスっぽいやつになりました。
    あなたの熱で綻ぶぽつりぽつりと軽やかな音を立てていた水滴の音が、激しく打ちつける音に変わるのにはそれほど時間は掛からなかった。サンクタムの大きな窓の表面を、水が滝のように流れていく。外を見下ろせば、色とりどりの傘が咲き、人と共に流れていく。息を吸うと冷たく重い空気が肺に溜まり、体の底が冷えていく。そっと手を見下ろせば、そこはいつもより震えていた。
    「はぁ…」
    吐き出した息は頼りなげに、サンクタムの空気に溶けていく。体に張り付くような重い空気をかき分けながら、ストレンジは雨音が聞こえない室内を探すために歩き出した。雨音と共に思い出される事故の衝撃に、腕をぎゅっと掴んだ。

    空間が歪んでいるサンクタムの中で、外の音が聞こえない場所を見つけるのは簡単のはずだ。そう思っていたのに、今日に限って目的の部屋が出てきてくれない。灼熱の地獄でもいい、極寒の氷の世界でもいい、どこでもいいから繋がってくれとドアを開けたり閉めたり。ここはどうだと開いた先は、熱帯雨林の雨季で土砂降り。次はどうだと開けてみれば、酸の雨が降り続く異世界で。どうやら今日はついてないらしい。諦めて自分の部屋に篭るかと、部屋に戻り、ベッドの上で光る電話に気づいた。
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