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    せんぽー

    @Senpo122

    🦚🌟載せていくよ!!
    R18のアベ星を猛烈に書きたいっ!!

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    せんぽー

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    🌶️🌟椒星 ホワイトデー話

     公式絵に脳が焼かれて勢いのままに書きました
     竹毬についたリボンがもう🌶️🌟だったので……狂いに狂いましたが、お話は可愛くなりました

    #椒星

    君の色と僕の色と(椒星)「椒丘、これって?」
    「僕からのお返しです」
    「お返し?」
    「はい、以前君から素敵な甘味をいただきましたので」

     椒丘から星に渡されたものは、小さな竹毬。手のひらに収まる可愛らしい竹毬には、黄色と桃色のリボンがついており、さらに竹毬の中には一つのチョコレートが入っていた。
     大きな花が絵が描かれた橙のチョコはシンプルながらも可愛く、そのチョコに惹かれた星の瞳がきらりと輝く。

    「もしかして、バレンタインデーのお返し?」
    「はい、そのばれんたいんでー?のお返しです。今日は“ほわいとでー”となるものとお聞きしましたので」

     椒丘に密かに思いを寄せていた星は、一ヶ月ほど前に彼へバレンタインデーとしてチョコをプレゼントしていた。他の人にもあげたが、椒丘のものだけデザインを変えて、直接会って渡したのだ。

    『“ばれんたいでー”?ですか?』
    『うん、その……えっと……日頃の感謝を、伝えたくって、ね……?』
    『………………なるほど。こちらもお世話になっているというのに、わざわざありがとうございます』

     しかし、当日は照れてしまい、星は結局思いを伝えられずに、告白チョコが感謝チョコに変わってしまったのだ。椒丘も星が、飛霄やモゼたちに渡しているところを見ており、友人としてもしくは関係性維持のために業務的に渡してきたと勘違いされていることだろう。彼の返事も随分と業務的だった。デザインが違うことにもきっと気づいていないだろう。
     星はそれはもう帰宅後に死ぬほど後悔した。告白できていれば、無事彼の恋人となれていたのに。
     だから、お返しのことはすっかり忘れていた。

    「そのデザインはどうでしょうか? 君に気に入っていただけるといいのですが……」

     椒丘に促され、星は改めてお返しを見てみる。竹毬についた2つのリボン。1つは黄色で星の瞳に色合いが似ている気がするし、桃色も椒丘の髪色と同じものだった。

    「これって……私と椒丘の色?」
    「はい、どうでしょうか?」

     こんなことをされてしまったら勘違いしてしまう。まるで椒丘がこちらを意識してくれているみたいだ。
     中のチョコは星のコートの差し色と同じものだった。竹毬を持つ手が一層熱くなっていく。このままではチョコが溶けてしまう。

    「…………」

     だが、星の口はうまく開かない。思いは募るばかりなのに、それを上手く伝えられない。

    「凄く……いいと思う……」

     ようやく出てきた言葉は当たり障りのないもの。口にした瞬間、星は後悔で叫びたくなっていた。もっといい返事ができたのに。なんでこんなにも言葉が出てこないのだろう。
     やはり彼を前にしてしまうと、いつもの自分でなくなってしまう。

    「それは良かったです。僕はご存知の通り目が見えませんので、モゼたちに色は確かめてもらっていたので心配だったのですが、イメージ通りになっていたようで良かったです。ところで、僕の思いは君に伝わったのでしょうか?」
    「お、思い?」
    「はい。バレンタインデーは、感謝の思いを伝える日でもあり、思いを伝える日でもある……君に貰った後にお聞きまして。いただいた物は他の者に渡したものとは違うと知りましたので、てっきり僕は特別扱いされているのかと……勘違いだったようですね、すみません。忘れてください……」
    「か、勘違いじゃないっ!!」

     遮るように叫ぶと、椒丘はびくりと肩を震わせる。盲目となり耳が敏感になっている椒丘にとって大声は、心臓にとても悪い。星は慌てて謝った。

    「大きな声を出してごめん……えっと、その……勘違いじゃないよ? 私は、あえて椒丘のだけ……デザインを変えたんだ」
    「それはなぜ?」
    「…………そ、それはもう分かるでしょ?」
    「ふふっ、星から説明してもらわないと僕は分かりませんね」
    「っ…………」

     椒丘ってこんなにもいじわるな人だっただろうか。こちらのことなんて全部お見通しな癖に、今更分からない振りなんてして。これが大人の余裕というものなのだろう。本当にずるい。

     疾うに沸点を迎え、星の頭からは湯気が出ていた。こちらの思いを見抜かれ、貰えると思っていなかったお返しを貰い、挙句の果てにこちらの気持ちを説明してほしいと迫られている。告白もろくにできなかった星にはキャパオーバーだった。
     話せずにもぞもぞしていると、星の頬にぴとっと大きな手が沿われ、びくりと星の肩が跳ねた。

    「おや、熱くなっているようですね」
    「なっ……」
    「こんなにも熱が……風邪でしょうか? でも、元気なようですし、どうして……」
    「っ……!! 分かった! 分かった! 全部話すよ……」
    「ふふっ」

     完全に椒丘に弄ばれている。
     でも、もういい。照れも隠しもなしだ。全部知られているというのなら、どうだっていいんだ。

    「最近ずっとあんたのことしか考えられなくなってた……私は椒丘、あんたが好きだよ」

     思いの全てを上手く言葉にできない。だけど、これだけははっきりと言える。これまでもこれからも変わらない気持ちだ。

    「ふふっ、ようやく言っていただけましたね」

     ずっと待っていたと言うように笑みを零す椒丘。苦しそうな嬉しそうなその両方を見せる微笑み。

    「ようやく君に——」
    「えっ——?」

     気づけば、腕を引かれていた。大きな胸の中に星は飛び込んでいた。椒丘の胸に星はすっぽり埋っていた。

    「すみません。いじらしくって可愛かったので、つい君に意地悪をしてしまいました」

     安らぐ薬草の香りが星の鼻をくすぐる。胸にじんわりと熱が広がっていく。
     椒丘が自分を抱きしめている……これは現実なのだろうか? それとも夢?

     もし夢なのなら、どうか一生覚めないで欲しい……。

     背中に手を回す星の片手は、彼の服を握りしめていた。また、椒丘も星の後頭部に手を添え、肩に頭をうずめていた。

    「ふふっ、君はこんなにも温かいのですね」



     ★★★★★★★★



     視力を失って以来、椒丘は孤独の世界にいた。飛霄やモゼはいてくれるが、彼らの声と周囲の音ぐらいしか分からず、迷惑をかけることも多くなった。
     二人は気にするなとは言ってくれるものの、いつまでも彼らの優しさに甘えることはできない椒丘。
     彼らに負担をかけたくないと思い、一人個室で事務仕事をすることも増えた。作業も文字も音声入力でできるものの、自分の声しか響かない部屋は随分と静かだった。たとえ、同僚と一緒に仕事をしていても、全員が遠くにいるように思えた。

     ————ただ、星といる時は違った。

     暗闇の世界にいることなど忘れてしまうほど、彼女の声は心地が良かった。目が見えなくとも、寂しいこともなかった。
     ただ、いつか触れられたら、彼女のぬくもりを感じられたらと恋焦がれていた。まぁ、椒丘にも意地はなく、星に迷惑がられても嫌だったので、自分から触れるなんてことは絶対にしなかったが。

     だからだろう。ひっそりと思いを寄せていた星からチョコレートを貰った時には、完全に浮かれてしまった。貰った直後は衝撃で固まっていたが、意識が戻った後はずっと尻尾を振っていた。

     もちろん、上司の異変に気付いた部下たちからは『いつもは冷静な椒丘さんがご機嫌なようですね』『何かいいことでもあったのでしょうか』と噂されていたことは、椒丘の耳に届くことはなかった。
     仕方ないのことだ。あまりプレゼントを貰う機会は少なく、仕事のこともあり会うこと自体少なかったため、大人げなく気分が上がっていた。

    『お前のだけ、形が違うな』
    『え?』

     見えないのでそんなことを気にしてしなかったのだが、モゼに言われて自分の物だけデザインが違うのだと知った。モゼによると、椒丘の腰にある八角の形で、本来種子が入る部分には桃色と黄色に塗られているという。
     桃色は椒丘の髪色と同じで、黄色は昔椒丘がよく歩き回っていた飛雨湖の水草の花に似ているらしい。他の者はそこまでデザインは凝っておらず、かわいらしいボンボンショコラだった。
     その話を聞いて、椒丘はこてんと首を傾ける。

     どうして、自分の物だけ違う……?

    『お前のだけ随分と…豪華だな』
    『そう、なのですか?』
    『ああ、星に好意を寄せている者がいれば、今頃そいつに奪われているだろうな』
    『……』

     甘い。胸焼けしそうだ。
     なんでこんなことをするのだろうか……こんな可愛いことをされたら、おかしくなってしまう。
     宇宙を駆けまわる星穹列車の星。手を伸ばさなければ、届かなくなってしまいそうな煌めく僕の光。
     もし、そんな彼女に想いを寄せられているとしたら———全力で応えよう。 



     ★★★★★★★★



     椒丘は星の存在を確かめるように強く抱きしめる。思っている以上に星の身体は華奢で温かい。

    「君を二度と放したくないぐらいに、僕も愛してます」
    「愛、してっ……ふぇっ?」
    「どうかこの先もずっと僕の隣にいてください」
    「———」

     プロポーズも同然の真っすぐな告白に、星は沸騰したようにボッと頭が茹で上がる。このままではチョコと一緒に溶けてしまう。
     その日の事が衝撃的で、貰ったチョコを食べたけれど、あまり味を覚えていない。

     ただ、辛い?痛い?……甘い? 
     そんなどこか不思議で大人な味だった気がする。
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