邪魔者には地獄への片道切符 血相を変えた兄弟が自室へ飛び込んできた時、桐生は耳を疑った。「幼馴染である由美が攫われた」、その一言で桐生は錦山と共に夜の神室町へ飛び出していく。下手人の正体は分からず、手掛かりもないまま闇雲に探し回る二人。薄汚れた路地裏を駆け回っても、疑わしき人間の足跡一つ見つけられなかった。父と慕う風間ならば何か知っているかもしれないが、堂島組に身を置く桐生がおいそれと頼る訳にもいかない。途中で別れた錦山と合流するべきかとポケベル片手に公衆電話を探していると、軽い金属音を立てながら近付いてくる足音が聞こえて来た。音のする方向へ振り返れば、そこにいたのは金属バットを肩に担いだ組違いの兄貴分・真島吾朗だ
「桐生ちゃん、め~っけ。 何しとんの?」
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