あなたに贈り物を、最高の一日を! ぎしりと床が微かに軋んで、俺は慌てて足を止めて息を潜めた。
いち、にぃ、さんと頭の中で数を数えて、少し離れた場所にあるベッドの様子を伺う。
すぅすぅと穏やかな寝息と、緩やかに上下する布団の山に、俺はほっと胸を撫で下ろした。
「なぁ関口、サンタっていつまで信じてた?」
せっかくのクリスマス・イヴだから、近くでフライドチキンでも予約しようかとヤノさんが俺に問いかけたのは今からちょうど一週間前のこと。
どれにしようかとチラシを眺めていた時に突然飛び出したヤノさんの言葉に、俺はううん、と昔を思い出した。
「小学四年、くらいまでですかね……?」
「まじで?結構ピュアだったんだな、関口。いつ気づいたんだ?」
確か、そのくらいだったと思う。気がついたきっかけはひどく簡単なもので、サンタを捕まえようとした俺と、夜に忍び込もうとした母親が鉢合わせをした、ただそれだけのことだった。
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