リトSSまとめ3◇戦士の黄金
黄金色の眼をした戦士が、白い冠羽をぷうわり麦穂のように長く揺らしている。目蓋は瞳の熱に焦げっちまったみたいに玄い鋼色、びんと張った帯みたいにカタチ凛々しい眉も同じ熱に当てられたのか煤竹の色。
ぎらぎらしたその目は、日差しも月明かり星明かりも関係なく、いつだって黄金色を映してる。黄金に輝く“何か”が、焼き付いた目だ。
くわり、悠々と気取った曲がりの嘴が開く。
「この大地から天空まで永遠に、常春の国の歴史に響く最高のお伽噺を、風と弓に翼を掛けたあなたの名で刻んでやるのは、この俺だ。そんな傲慢な語り手に腹を立てたアンタが殴り込んで来てくれりゃ、儲けもん」
ひゅうひゅうと風が吹く。青い中天の影も、赤い月の夜も、幾星霜と星が陽を追って飛び越した朝にも、ひゅうひゅうと風は止まず。へブラの息吹は死なずの風の鼓動。理想に飛び果てた戦士のたどり着く楽園の声を運ぶ。
20115