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    itono_pi1ka1

    @itono_pi1ka1
    だいたい🕊️師弟の話。ここは捏造CP二次創作(リバテバリバ)も含むので閲覧注意。

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    itono_pi1ka1

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    リト族たちにとって、自分の羽根も一種の資源として見てるのかな~というところから始まったリトの戦士の矢羽根についての妄想供養
    ※会話文予定だったので、全文リーバルが喋っている設定。

    ##リ

    リトの羽根と矢の話 ……リトの作る弓矢が特別なのはさ、一つじゃなく色々と理由がある。
     何度つき刺し、引き抜いても、刃の冴えが摩耗することのない鏃(やじり)。
     ちゃんと射手の言う事を聞いて、それどころか自分でも上手く風に乗って勢いをつける方法を知っている矢羽根。
     風の流れを知り尽くした翼の民にしか分からない、よく飛び、まっすぐ意のまま翔けて、飛んでいながら使っても邪魔にならない、軽くて強い弓。
     どれかじゃなくて、全部が揃っているのが美しいんだ。機能美ってやつさ。
     中でも一番の秘中の秘は「矢羽」だ。
     弓や鏃のことは技術で、他の種の職人にも真似のできる事だし、僕らリトも明かすことには明かしもする。
     けど矢羽根だけは別。
     こればっかりは説明してもたぶん、分かってもらうのが難しい。でも、何とか言葉にしてみるとしよう。
     リトの作った矢が他と一線を画するのはね、矢羽が「生きて」いるからだ。
     リトの作る矢羽は、ちゃんと羽根を生きたモノとして扱っている。それがどういうことかって具体的に言うとなると……うーん、そうだな。
     ──君は、「靴」を観察したことがあるかい?そう、今、君の足がすっぽり入ってるその靴だよ。
     僕らは靴を履かないからよく知らないが……靴っていうのは損耗が激しい道具だろう?小まめに手入れをしなけりゃすぐにダメになってしまうそうじゃないか。まあ毎日毎日、にんげんの体重を全部受け止めて地面と擦りあわされているんだから当然だよね。
     それで、とうとう素人手入れでダメになったら靴屋に修膳に持って行くだろ?
     で、すぐれた靴屋や靴磨きの職人は……その靴を一目見て、その損耗具合から、靴の持ち主であるお客が普段「どんな歩き方をしてるか」「どんな道を歩いているのか」を見極めるんだそうだよ。そして、その靴に合った繕いをしてくれる。
     靴はただの道具だけれど、そこには使い手の生活が染み付いているんだね。
     それって見方を変えれば、靴には「使い手の魂の一部が宿っている」とも言えるだろう?
     靴屋は靴に残る「魂」を見て、丁寧な仕事をする。「魂」の尊重された靴の出来栄えに、「魂の大本」の依頼人は大満足する。
     ね、簡単なことだ。僕らリトは、矢羽に使う羽根に対しても同じようなことをしていると、そう思ってくれていい。
     そうだな、リトの矢羽根には「魂が残っている」んだよ。
     他所の矢羽はどんなに技術が上等だって「魂」が入ってない、死んでるんだ。死体の羽根を寄り合わせているだけ。
     何?……たったの羽根の数本に魂があるのかって?
     もちろん、ある。羽根が抜け落ちるっていうのは、君らの髪の毛が一本二本抜けるのとは、ワケが違うんだ。
     腕のある者が射ってみればわかるよ。ちゃんと「魂」がある矢羽と、そうでないのとじゃ、飛び方が全然違うから。本物の鳥と紙ヒコーキくらい違うんだ……とは流石に言わないけど、でも、感覚としてはそういうことだ。
     鳥であれ、同じリトの羽根であれ、僕達はリトはその羽根を見て、触って、「そいつ」が「どんなふうに飛んでいたのか」ってことが目に映るように分かる。その羽根の持ち主がどんな飛び方の「癖」があるのか、手に取るように分かるんだ。
     矢羽を仕立てる時には、そういう「羽根の性格」を知っているのがとても大事だ。「魂」っていうのは、この「羽根の性格」のことだよ。これから矢羽になる羽根たちの「魂」……これを職人が分かっているかいないかで、出来が全然違うものになる。
     羽根っていうのはさ、まだ生きてるんだ。だって生き物の一部だもの。
     どれ一つとして同じものはない。そいつらを寄せ集めて一つのものにしようって言うんだから、こいつは一つ戦小隊を指揮するみたいに大変な事さ。そう、まさに「魂」だよ。
     おまけにリトじゃない人々は、羽毛の翼で空を飛ぶっていうのがどんなのか、実際のところ知りっこないだろう? 僕らが尾羽と嘴のない生活が想像できないみたいにね。
     だからどうしても、リトじゃない人が作ると、羽根たちの制御が「しつけ」られないままに矢ができちまう。
     対してリトの作る矢は、一人ひとり羽根たちの性格を考えてやって、扱いこなしてよく「馴らして」やるから、ちょうど上手く飛んでいくわけさ。
     羽根たちもね、自分の飛び方が尊重されてるって分かると、そりゃいい気分になって長くまっすぐ戦士に付き合って飛んでくれるようになるんだよ。
     これがリト族の作る矢羽根の秘密のお話。君のお気に召したかな?

     さて、リトの矢羽の強みの話をしたところで……君には、もう一つ、僕達リト族の「羽根」の話をしようじゃないか。
     そう、僕のこの翼みたいに、リトの身体にずらりと生えている美しい「羽根」の事さ。おっと、自慢するためだけじゃないぜ? ちゃんと矢羽の話にも関わりのある事だから。まあ、さっきの秘密の代金だと思って聞いてよ。
     リトの羽根は、強くしなやかで、実はこの風切り羽っていうのは矢羽に仕立て上げられる程に上質なものなんだ。さらには色もあざやかで、見栄えがする。保温保湿もばっちりで、水鳥の羽根に負けないくらい防水にも優れる。
     もちろん鳥たちと同じように、僕達の羽根も一定の時期になると、換羽がある。古い羽根は自然と抜け落ちて、新しい羽根に生え変わるのさ。
     その「抜け落ちた羽根」をリト達がどうしているのか、君は知っているかい?
     知らないだろう? ああ、気を悪くしないでくれよ、それは当たり前の事なんだから。
     それは、リトの誰も「他所の種族の前で自分の羽根が落ちるところは見せない」からだ。
     換羽の時期には体調が安定しないから巣に籠もる、という性質の所以もあるけど、何より余所者にその姿を見せないことが肝心なんだ。落ちた羽根だって、余所者に拾われてしまわないように厳重に管理する。
     君達がいつ、どんな時にリトの村を歩いたとしても、羽根のひとひらが落ちてるところを見たことが無い筈だ。あったとしたら、即座に戦士達に連行されて、小難しい契約書にサインしなくちゃいけなくなってるし、その理由も知っているだろうね。
     それは何故か。……君たちも知っている通り、「成人リトの羽根」っていうのは普通「流通していない」。
     防具屋の羽毛服や、宿屋の羽毛布団に使われているのは、幼い雛のリトの生え変わりのやわらかい羽根だけだ。大きな成人リトの羽根を使った矢羽根も装飾品も、一つだって売ってないだろう?
     これらのことはみな、僕達、リトの戦士の間にある「慣習」に起因するんだ。
     ……非常にお互いを信頼したリトの弓使いの男たちは、その信頼の証として、一本の特別な「矢」を交換して持つことがある。
     それは、矢羽に「自分の羽」を使って、自分なりの工夫を凝らした特製の「矢」だ。矢羽の羽根は、もちろん、自然に抜け替わって落ちた羽根を使ったモノだよ。
     大量に何本も作れるものじゃないけれど、自分の「飛び方」は自分自身が一番よく知っているものだから、戦士は何よりその「矢」を信頼する。ここぞという大一番、絶対に外してはいけない一射、そういったときに願をかけるのと実用性との両方で、自分の羽根を使った特別の矢を使うんだ。
     その「矢」を交換するっていうのは、その相手に、自分がこれまで鍛えてきた戦闘技術、飛行技術の神髄をそっくりそのまま明け渡すほどの意味にも匹敵する。
     もちろん自分の技術をタダで教えてやろうなんて馬鹿は、リトの戦士には居ないよ。
     だから「交換」なんだ。
     こいつなら自分の技を教えても悪用はしない、こいつならきっとこの矢を活かせる。
     そういう信頼を預け合った相手にだけ、自分の羽根と共に技術を託すんだ。
     そこから技術を組み合わせたり、高めたり、よりよい矢づくり、よりよい戦士の育成につながるのさ。
     こういう事情もあって、リトの戦士……名の知れた優秀な戦士は、弓を作るのは職人に任せても、矢は自分で作る、という者が一定数いるね。自分の羽根を使う以外の、普通の矢でもね。矢を仕立てるには一本一本時間と手間がかかるから、本当の火事場な戦場じゃ、そんな悠長な事は言ってられないけど。
     そして、他所の種族からリトの戦士の弓使いが恐れられる理由の一つはそこでもある。
     リトの戦士は自分で矢が作れる。戦場で矢を切らしたとしても、鳥を射止める暇すらも必要なく、その場で矢を補充できる。
     そりゃ他の種族の戦士でも、矢の作り方を知っていて材料さえあれば即席ものならやってのける勤勉なやつもいるだろう。でも、わざわざ材料をストックして作れるように持ち歩くなんかよりも、その分一本でも二本でも出来上がっている矢を持って行く方がはるかに有用だ。
     あ、その場で材料を集めればいいなんて言うのは、もっと愚かな言い分だよ。
     矢をその場で都合しなくっちゃいけないほど、切羽詰まっていて、どうして矢羽根に仕立てられるくらい立派な羽根を持つ賢い鳥たちを仕留められるだろう。
     そんなことするくらいなら、敵の死体から矢を引っこ抜いて再利用するか、敵の弓兵を襲って矢筒を奪い取る方がよっぽどいい。それができれば、苦労はしないのが戦場の常だけれどもね。
     その点、リトの戦士は自分の翼に、するどい蹴爪や嘴だってある。
     猛禽がそうするように、身体一つで立派な羽根を持った鳥を捕えることもできるし、本当の本当に困ったときは「自分の羽根」をちょいとむしって矢羽に仕立てる。いやこれは、めったにない、絶体絶命の危急存亡の時ってくらいのはなしだけどね。大事な風切り羽の一本が“羽こぼれ”するだけで、空中でのバランスの取り方は大きく変わってくるものだから。
     でも、そうして立派な矢羽を都合できれば、あとはどうとでもなる。木の軸は行儀のよさそうな枝を折るのも射損じたのを使い回すのも整えるのは簡単。鏃は、石を打ち砕くなり戦場に転がってる剣やら槍やらの穂先を貰ったり、意外と何とかなるものだ。即席の矢に、威力も正確さも頼みにするもんじゃなし。
     あとは──これはまた、心底切羽詰まった時に限るけれど……僕らは自分の蹴爪をちょっと砕いて鏃がわりにする事もある。弓を扱う古いリトの戦士達は普通よりも少しだけ余裕をとって、長く爪を伸ばしていることが多い。それはこうした危急の時のためなんだね。
     そんなリトの戦士相手には「相手の矢が尽きるのを待って近づく」なんていう、へっぴり腰の戦法は通用しないってワケだ。
     ここまで長く説明してきたが……僕の言いたかったことは「リトの戦士にとって、自分たちの羽根を他人の手に渡すことは、行為以上に大きな意味を持つ」ということさ。
     他の種族たちに「羽根の落ちるところを見せない」「羽根を売らない」というのも、この戦士達の信頼と技術、あるいは一つの儀式のような慣例を壊さないためにあるしきたりだ。まだまだ上手く飛べない子供の内のやわらかい抜け羽だけを商品に使うのは、そういう理由。
     もちろん、情報漏洩を防ぐ意味もあるよ。とはいえ、翼の無い人たちに羽根を見られたところで戦士達の技術は易々とは理解できないと思うけど。
     けれど、リト族の間にこういう「貴重な物」があると他所に「知られてしまう」ことが、何より問題なんだ。
     ……人の欲望っていうのは、あるとき簡単に手に入らないものに対して、異常なほど膨れ上がることがある。手段を選ばず、倫理を顧みず、果てには手に入れるよりも、相手から奪うことそのものを目的にしてしまうことさえある。そうなってしまってからでは、もうお互いに過激な手段しか取れなくなってしまうんだ。
     僕達リトの戦士は、戦いに誇りを持って挑む者ではあるが……無益で無意味な争いを歓迎するような狂人ではない。そんな火種に万が一にもなりかねないものならば、周囲にはそんなものは無いものだと扱って見せておく方が賢いやり方だ。
     だからもし君が僕の信頼を裏切って、他所に今日の秘密を洩らそうものなら……そのときはハイラルのどこに居たって逃がさずその喉笛に矢を突き立ててやるからな、覚悟しておきなよ?……なーんて。はは、冗談だよ。半分はね。

     ところで……僕はさっき「切羽詰まる」と言ったろう。
     これは広くシーカー族の戦士に由来する言葉で、カタナの鍔を挟んで支える「切羽」という部品を詰めすぎているとカタナが抜けなくなってしまうってところから「物事に追われて余裕がない」ことを表すらしいね。
    だが実は、リトにも「切羽詰まる」という言葉がある。意味は同じようなものだけど、由来が違う。
     あ、もう分かったって顔だな?君もなかなかリトの物の考え方がわかってきたようだ。
     うん、正解。さっきの「自分の羽根を切って矢羽にする戦士」だよ。
     シーカー族の戦士にとって「切羽」というのは「武器の部品」の名前だけど、僕らリトの戦士にとってはそのまま、「羽根を切る」という行為をさす言葉なんだ。
     「切羽つまる」と言えば、そうせざるを得ないほど窮地に立たされて余裕のない戦士のこと。転じて、そのような状態そのものを表す言葉になった。
     違う場所・違う文化の中で生まれたそっくり同じ言葉が、似たような意味で使われているなんて、なかなか不思議な事だよね。
     さて、寄り道の話はここまでにして。

     ──だがこの話は、リトの戦士のしぶとさを誇って終わらないのが何とも歯がゆい事でね。
     残念な事に、世の中には悪い奴らが居て、この立派な羽根を「あくどい手段でむしり取ってやろう」っていう見下げた輩がどうしても出て来るんだ。
     もちろん僕らには弓も、この鋭い嘴も蹴爪もあるから、簡単には羽根をむしられてなんかやらないよ?
     でも、一人のところに徒党を組んで襲われたり、武器も持たない女子供のリトが狙われたりすると、そうも言ってはいられない。リトの戦士達が睨みを利かせているおかげで、ずいぶんとそういう事件も少なくはなったものなんだけどね。
     だが、そうなると今度は「じゃあ物言わぬ死体から盗み取ってしまえばいい」っていう墓荒らしが出て来た。まったく、性悪さにも反吐が出る。そんな輩には一人残らず全身に矢を突き立てて不細工なサボテンにでもしてやりたいよ。
     ……ああ、ごめん。怖がらせちゃったかい。別に僕だって、君がそんな誇りに欠けた行いをする奴だとは思っちゃいないから、安心してくれていいよ。
     おや、不思議そうな顔。──じゃあどうしてこんな話をしたのか、だって?
     君には知っていてもらわなくちゃいけないからだ。
     来たる大厄災のその日、僕達リトの戦士を兵として率いると言うのなら、将である君は、彼らの死体を踏み越えていかねばならないときもあるだろう。
     そのとき僕らリトが殿を務め血路を開こうとするのは、何も誉のためだけ、君達への協力ゆえだけでは、おそらくない筈なんだ。同胞の死体を悪党どもに啄まれぬように、戦士達がつないできた信頼と技術を盗まれぬようにと己が身を燃やしてでも、仲間の死体を持ち帰るか焼き払うかしてやりたいというのが、言えぬ本音だろうさ。
     そんな戦士達に対して君ができることは、ほとんどないと言っていい。なるべく足早に立ち去ってやることだ。彼らの意志は、その誇りと同じように固いものだから。
     憐れんでも、勝手を怒ってくれても別にどっちだってかまわないよ。ただ僕は君に、リトの戦士達の選択を知っていて欲しいと思ってこういう話をしたんだ。それをどう受け取るかは……ま、君に任せるよ。さ、これで今日の話はおしまいだ。
     残念ながら僕らの鳥目じゃ夜道は送ってやれないから……お泊りなら、あちらの宿が上等だ。もし帰ると言うのなら、しっかり灯りを持って、気をつけて帰ると良い。灯りがあれば、何とか僕達だって駆けつけられるかもしれないからね。
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