無題「───はぁい、滑稽な旅人さん?」
虚ろな目の金髪の少女を煽るように手を振る。無気力に横たわったそれは、焦点が定まっていない。
(意識は無い、か)
こうして邪眼工場に単身で乗り込んできたのは褒めてあげたい。しかしそこまでの勇気と技量が比例してはいなかったようだが。
そばに飛んでる小さい奴は、助けを呼びに行った。
(全く。置いていくなんて、バカにも程があるね)
僕がこの女に何かするとは考えなかったのだろうか。それとも、この女の力に盲信して居るのだろうか。しかし所詮はただの女。こうやって寝ていれば、何も出来ない。
顎を持ち上げ、彼女の顔色を伺う。苦しそうに浅い息を繰り返している。無様で、見ていて飽きない。
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