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    tyaitanu

    @tyaitanu

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    tyaitanu

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    ギャビン主人公でギャビンとハンクのお話しです。資料室でコナーに対し、「ずっとお前にこうしたかった」という突然のクソデカ感情の「ずっと」ってどこからずっとだよ!!という疑問を考えてて一つのもしものお話しです。ぽいピクの感触をつかみたくてやってみましたので、書ききるかどうかはわかりませんし、だいぶ勢いで書いていますのでよろしくです。

    #デトロイトビカムヒューマン
    detroitVicumHuman
    #ギャビン
    gavin

    ギャビン・リードという人(仮) 絵に描いたような悪ガキ。絵に描いたような不良少年。そして絵に描いたようなロクでなしになるハズだった俺は、なんの因果か警察官になっていた。

    ギャビン・リードという人

     親戚のおっさんは昔から俺を酒の席の肴にする。ギャビンは小さい頃からロクなやつじゃなかった。隣のエミーのおもちゃはとるわ、トーマスの自転車を蹴飛ばすわ。俺もいったい何度こいつに説教したことか。数年ぶりに会ったとしてもその話のフリは変わらない。
    「それでいて、乱暴でも根は優しいならまだマシだが、こいつはただのワガママで暴れん坊でその上ずる賢いっていう『ホンモノ』だからな。ついに俺はうちから刑務所行きが出るかと思ったが、それが警察官になるんだからなぁ!」
     おっさんの視線を感じなら、黙ったままグラスに入れた酒をつかむ。煽ったところで言われた。
    「世も末だ」
     どっと笑い声が響いた。こいつらこの話、毎回毎回同じ間合い、同じところで笑うんだけど、大丈夫か? まさか俺がいないときも、この調子じゃないだろうな。だとしたらアンドロイド並みにプログラムネタだろこれ。
     腹の中で毒づきながら身を乗り出す。親戚集まりは面倒だが、俺の一族の作れる連中の飯は上手い。ローストビーフをもう一枚切る。
    「ねぇ、ギャビン、あんた一人で食べる気!? いい年こいてさぁ、他の人も食べるんだから、ちゃんと考えなさいよ!」
     いや、酒飲んでたじゃねぇか。この飲んだくれが。
     俺は、何も言わず肉を口に運んだ。この場合、言い返してもロクなことはないし、だいたいすぐ忘れる。
    「ねぇ、貴腐ワインそろそろ開けよっか」
    「あ、いいね。飲む飲む」
     ほらな。そういう家だ。良い一族だ。

    「それじゃあまた」
    「ああ、また」
    「キャス、今度そっちくるときナッツのディスク持ってくよ」
     ぼちぼちとお開きムードの中、上着を羽織ろうとしたら背中に何か当てられた。振り返ると婆ちゃんが紙袋を揺らした。
    「ほら、これ持ってきな。あんたちゃんとご飯食べてないでしょ」
    「食べてるよ」
    「あんだけ食べて。どうせ大したもん食べてないでしょ」
    「食べてるって」
     そういって中身を確認する。シーフードと野菜のマリネ、きのことチキンのマリネ、下のも全部マリネじゃないかと思ったが、それはなんか野菜の入った肉団子のようだった。冷凍可!とメモが貼っつけてある。
    「ありがと。うまそ」
     お世辞じゃない。毎日適当に同じようなもんばっか喰ってるから、こういうものは恋しかった。たまたま休みになったとはいえ、面倒臭い親戚集まりに来たのもそれが目的だし、上手くすればなんかおこぼれが貰えると持った。予想以上だ。
    「作れないのはいいけど、だったらお店でちゃんとしたもの選ぶとかそういうことしなさいよ」
    「もう、めんどくさくて」
     笑える。10年一人暮らししてる。途中誰かと暮らしたり、気まぐれおこして飯なんか作ってみたりするものの、やっぱりめんどくさい。こんなふうに綺麗にパックに入れて、欲しいものを選ぶ。それで精一杯だ。
     婆ちゃんは盛大に溜息をつく。
    「あんたに自分の世話は大変よねぇ」
    「いや、別にそれなりにやってるって」
     婆ちゃんは頷きながらも眉間に皺を寄せる。納得してないようだ。だからめんどくせぇんだよな。こういうところ来るの。と、思った瞬間、言われた。
    「ねぇ、あんたアンドロイド買ったら?」
    「やだよ。あれそこそこするじゃん」
     婆ちゃん、これ言うの狙ってたな。
    「車一台買うようなもんでしょ? もうあんた給料で十分買えるでしょ」
    「だったら新しく車買うよ。だいたい、俺、部屋にアンドロイド一体置きたくねぇよ。あれ普通にサイズ人間だぞ、婆ちゃん」
    「立ったまま置けるんでしょ? 物置…っていうかクローゼットにでも入れたら?」
     首を振った。
    「気持ち悪りぃよ」
     だったら袋に入れたらどう?と婆ちゃんはしつこく提案してきたが、上手い具合に親父が帰るぞと声をかけてくれた。俺は、もう一度だけ数日分のまともな食料をもらったことを感謝して逃げた。袋に入れるって、それじゃあ納体袋じゃねぇか。溜息を吐く。ほんと、うちの連中デリカシーねぇな。

     アンドロイドが一般化されてそろそろ10年近くなる。俺が就職した頃にはとても庶民に手が出る額ではなかったが、あっという間に需要が拡大されて販売価格もがくっと下がって、今や中古ショップなら値段はもっと安い。独身だと何かにつけ「じゃあ、アンドロイド買ったら?」とか言われるが、別にそこまで困っちゃいねぇっていうか、そんな丁寧な暮らししたいとか思わねぇんだよな。あれ、子どもとか結婚してる家の方が欲しいだろ。
     運転しながら近づくデトロイトの街並みをみて考える。職場にもアンドロイドは普通にいる。当初は夜中、夜勤のときとか薄暗い明かりのなかで黙って立ち尽くす姿に何度か驚かされたが、今やもう慣れた。家の中に置いても、最初はビビるかもしれないが、やがて慣れてしまうだろう。一人コントはともかく、だけど、たまに警官がそういう「気配」に鈍くなるのはどうだろう。
     思って、俺は少しイラついた。ハンクみてぇなこと言ったな。ハンドル付近の音量ボタンを押す。クラブにでも行きたいが、帰って寝たら仕事だ。あと少し、機嫌よく高速ぶっ放して我慢するか。
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