王様から魔王討伐を託された勇者一行はついに魔王城へ。
城門前にいた雑魚を軽々と蹴散らし、このパーティなら戦えると意気込んだ大広間。
待ち構えていたのは黒い甲冑に身を包んだ黒騎士だった。
一人でいるということは中ボス──幹部とみていいだろう。
攻撃魔法で先制したが黒騎士は躱して剣を抜くだけ。
距離が離れているうちは魔法か飛び道具が定石であるが、ゆっくりと歩みを進めている。
剣を交えてみても魔法を使う素振りは見られず、奴は魔法が使えないのだと理解した。
つまり優勢だと確信さえあった。
そう思っていたのは数十分前。
後衛担当を倒され、あとは任せろと向き合った瞬間に吹っ飛ばされた。
何度も立ち上がっても全く刃が立たず、目の前が真っ暗になる。
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