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    shinyaemew

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    shinyaemew

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    一個前の続きのようなもの。司視点。
    ※捏造の出血大サービス
    ※病院の先生キャラが出るが書いた人は知識ゼロなので深く考えないでくれると嬉しい

    ##ねこル

    春先、猫の愛情に溺れながら ①.
    .
    .

     オレと類は出会いもショーがきっかけなのもあって、類を飼う……家族として迎え入れてからも、ショーの話が一番弾む。やりたい演出について興奮して語り合うとつい声も大きくなりがちだ。両親や咲希からストップをかけられないよう、類の部屋(元は客室だった)でくつろぎながら話すことが多くなった。

     類は今までショーについて話せる相手がいなかったからか、うちに来たばかりの頃は部屋の枕と自前のノートを持ってきては、金色をキラキラ輝かせながら『今日はこの作品について朝まで語り明かそうじゃないか!』と同衾を求めてきていた。オレもショーのことなら大歓迎だが、出合ったばかりのオレたちは節度を知らず、類の言葉通り日が出るまで寝ずにいたし、そのせいで学校の授業中に居眠りをしてしまったこともあった。

    「平日は遅くても十一時には自分の部屋に戻ること」
     苦渋の決断を類に告げたら、類は隠すつもりもなく、すんっと悲しみを顔一面で表現し、なんなら頭上の猫耳もぱたりと力なく垂れていた。

    『……わかったよ。仕方ないね。司くんにも学校があるから』

     ピアスから、というより、どこからともなく脳内に響く寂しそうな類の声が、普通に口で伝えられる言葉よりも強く心を突き刺さる。オレだって辛いからそんな顔や声をしないでほしい。

    「……金曜や土曜の夜とか、翌日が休みの日ならこの限りではないぞ」
    「!」

     今度はもはや言葉も要らない。さっきとは打って変わって、花のつぼみがほころぶような笑顔を見せては、ちらちら覗くしっぽをゆらゆら揺らせ、まさに全身で喜びを表現しているのだから。類のような存在をはたして人と呼んでいいものかいまいち分からないが、かわいい人だな、と思った。



     言葉よりも行動で気持ちを伝えるのが上手な類はスキンシップも人一倍多かった。小型の猫のように(類は180センチもあるが)紫をすり寄せてきたり、事あるごとにその暖かい懐にオレを包み込んだりした。うちは元から家族内の親愛な触れ合いを恥ずかしがる家ではないし、懐かれるのは嬉しいのでそのまま受け入れていた。

     とはいえ、この頃……庭の桜が咲き始めた頃は、それは異様に思えるほどエスカレートしていた。この前なんて話の途中に何の前触れもなく耳をぺろっと舐められて、一瞬思考が止まってしまって、変な反応を取ってしまった。叱ってはいないのに、類もオレの驚きに気づいたのか、申し訳なさそうに「ごめん」と謝ってきた。

     それから類はどこか様子がおかしく、ハグしてきたからオレもしかえそうと思った瞬間にはもうばっと離れているし、悪いことでもしたかのような表情を見せる。類の気持ちが分かればよかったが、様子がおかしくなったと同時にあの便利なピアスをあまりつけられなくなった。つけないのかと聞いてみるも、「しゃべるれんしゅうになるから」と口からしか答えが返ってこない。言葉は気持ちを伝える一番手っ取り早い方法のはずだが、どうも今の類の言葉はその機能をちゃんと果たせていないように思えた。

     病気とかだったら早いうちに治療を受けなければと思い、「動物と同じような診察を受けるのはあまりいい気分ではない」と言われて一~二回しか連れて行ったことなかった動物病院の獣医に相談してみた。

    「時期的に、発情期じゃないかな」
    「ハツジョウキ」
    十七のオレが聞いて思わず目を見開く単語だった。未成年だがここでこんな話を聞いて大丈夫なのか?

    「類くんは人型タイプだけど、今聞いた話からして、恐らくそれで間違いないと思うよ」
    「はぁ…」
    「もしあまりにスキンシップが激しかったり、何か困ったことをされたら、猫型と同じく去勢ができるので、いつでも遠慮なく相談してね」
    「きょ、きょせい……」

    「人型タイプに襲われて辛い思いをした飼い主もいると聞いているから、今のうちにどう対応したいか、考えておいたほうがいいよ」
    「は、はい……」
     獣医が色々有難いアドバイスをしてくれているが、オレはまださっきの単語の衝撃から抜け出せないままだった。

     去勢をしない場合、どう対応すればいいのかをちゃんと教わりたいけれど、どうも脳内ではアダルトな予想しか浮かばず、恥ずかしくなって聞かずに病院を後にした。

     誰にも聞けなくて、公園のベンチに座って一人でスマホで検索してみた。幸いネットに対処方法を詳しく書いてくれている経験者を見つけて、オレは文章を暗記できてしまうかもしれないぐらい何度も何度も読み返す。その人は飼い猫のことをただのペットとして見ておらず、「少しからだの作りが違う人間」と考えていて、最終的には猫……そのパートナーと恋人関係になったようだ。

     獣医はオレのことを思って去勢という選択肢を提示してくれたが、体は類のものだから、飼い主とはいえ、オレが勝手に決めていいことではない。でももし、選択を類に任せるとして、類はどう選ぶのか。

    『……わかったよ。仕方ないね。司くんにも学校があるから』

     いつしかの類の悲しい顔が目に浮かぶ。夜遅くまで語り合えないと告げられた時と同じように、辛い思いをしながら受け入れるのだろうか。或いは、いっそ家を出ていってしまうのか。



    「……嫌だ」 



     ここに類がいないどころか、ただこれからのことを想像していただけなのに、思わず口から出てしまった。それほど自分は類と離れるのが受け入れられないのかと、少し驚いた。

     答えは言うまでもない。あとはそれをどう伝えるかだけだ。勇気を出そうともう一度大先輩の文章を読み返したら、さっきまで医学的知識として読めていたそれが、何故か急に官能小説に見えてきて、反射的に周りに人がいないか確認してしまったし、顔がぼうっと茹って熱かった。

    「う、うまくできるか…?」

     細目でスマホを眺める自分はきっと挙動不審この上ないだろうから、誰もいなくてよかった。





     オレは万全な準備を整えたつもりで家に帰ったが、まさかすぐにでも本番に挑む機会がくるとは思わなかった。平然を装って、いつものように日常生活のルーティンを済ませ、気になるショーについて類の部屋で話していたら、それは突然起きた。

     前までは二人で隣り合わせてマットの敷いた床に座りながら、ベッドを背もたれにしてくつろぐことが多かったが、類も自分の体の異変に気づいているのか、ここ数日はオレの隣ではなく、少し離れた後ろのベッドの上に座るようになった。

     今日もオレたちのポジションは同じのはずが、オレがペラペラとショーの紹介をしているうちに、いつの間にか隣に降りてきた類は腕を腰へと回してきてはオレを抱き締めた。

     
     き、きた……! 
     蓄えたばかりの知識がわっと湧き出て心音を煩くする。今まで少々過ぎたスキンシップだと思っていた類のそれは、改めて今の心境で体験してみれば全然違うものとなった。元からオレより少し体温の高い類の手の熱さが布越しでも伝わってくる。弱弱しく触れられている腰周りがくすぐったくて反射的に体をよじれば、耳元に熱の篭った吐息がかかり、頭がふわふわに溶けそうだ。

     (な、流されただけではだめだ…!ちゃんとした方法で、対処しないと、オレも類もきっと後悔する…!)

     一つ深呼吸をし、ゴクリと唾を飲み、理性を取り戻したのち、後ろへ振り向いた。なるべく冷静で、でも真剣に類の顔を見る。目の前の類はとてもそれどころじゃなさそうだった。その無声のリクエストに今まで応えられずにいた自分が悔しくて、申し訳なくて、顰めてしまう。

     息を吸い、名を呼んだ。

    「なぁ、類」
    「っ ど、どうしたんだい」
     オレに呼ばれて類も少し正気を取り戻せたようだが、まだまだ辛そうだ。
    「オレ、今日獣医の所に行って聞いてみたんだが、
     お前もしかして…

     ……発情期なのか?」




     オレにそう聞かれた類は一瞬だけ顔がひくついた。ついさっきまでオレの腰あたりを恐る恐るまさぐっていた手は電流でも走ったようにバッと離され、同時に顔をすぐに俯かれて、水色のメッシュの入った長い髪が表情を隠してしまうが、じっと類を目から離さないオレはその一瞬を見逃さなかった。

    「………何のこと?」
    「嘘が下手だな??今一瞬顔引き攣ったぞ」
    「……っ …だったら、なんだい」

     嘘を見破られてばつが悪くなったのか、少し拗ねた口ぶり。オレより大きい図体の割りにかわいく見えて微笑んでしまいそうになるが我慢だ。

    「コホン…… 
     何って…辛くないか?今日獣医に色々教わってきたから、もしオレに何かできることがあったら……」
     教わっただなんて真っ赤の嘘だが、類も嘘ついているからおあいこだろう。


    「ない。」


    「えっ?」

     ステージを用意すれば快くショーに付き合ってくれると思ったが、予想と違う反応でオレも素が出てしまう。

    「ない。べたべたくっついて、ごめん。ひとりになりたくなった。つかさくんは、じぶんのへやにもどって」

     まだたどたどしい発音で喋り続けながら類はオレの腕を引っ張り、部屋の外へと送り出そうとする。ここで流されて大人しくはい、出て行きますと部屋を出たら最悪な状況になると、脳が警鐘を鳴らす。

    「…待て!!そういうつもりじゃな…っ!
     力強いなおい!こらッ!
     …ッ ピアスをつけ、


     ろッッ!!」


     このまま類が深い底にあるはずの本心を隠したまま会話しても話にならんと思い、ベッド際に置かれていた類のピアスを乱暴に掴み、引っ張られた勢いに任せ、本来届くか届かないかの距離にある三角の耳に無理やり挟めた。

    「!?ッダメ!!!! ッッ!」
    「!!!?」
    『             


                  』



     キ----------ン…





     膨大な感情が土砂崩れのように流れ込み、頭が破裂しそうにった。処理しきれない情報量を受け入れきれず脳が思考を放棄したが、痛みを感じながらも何とか拾えた類らしき声で紡がれた言葉の数々は、病院で聞いたそれよりも遥かに超えた、獣の本能のような、どす黒い劣情だった。



    『触れたい』
     


    『白い首を舐めてみたい』



    『溢れるこの熱を全部この人に■ちまけたい』



    『俺■■■を■■たい』





    『■■■ぐちゃに■■■い』



     それらを全身に浴びて動きを止めてしまっていたら、類はすかさず耳からピアスを引っこ抜いては部屋の隅っこへぶん投げた。コンッコロッと何度か物がぶつかる音が聞こえた頃に、ようやくオレも感情の波から解放された。




    「はっ!……はぁっ…!!はぁ…!」
     類の意識に圧倒されて息継ぎも忘れたのか、体が酸素を欲しがって何度か大きく呼吸をした。
    「つかさくん…!!司くん!だいじょうぶかい……!!!?」
    「…あ、ああ… …ちょっとびっくりしただけだ」
     本当はちょっとじゃないぐらい驚いたが、類の知らないところで予習してきたオレだから、そんな血の気引いた顔で心配するほどではない。

    「…………ごめんね」
    「…何で類が謝るんだ?」
     紫の柔らかい毛並みに覆われた三角の耳が、怯えるように垂れ下がっては後ろへと倒されていく一連の動きを見て、左胸がきゅうっとなって、少し痛かった。

    「……つかさくんがこまるようなことばかり、したいとおもってるから」
     そう話しながらも類はどんどん小さくなっていく。
     お前は何も悪くないのに。

    「確かにオレは今少し困ってるが、それは類がオレにそういうことをしたいからじゃない。類が辛いのにオレが何も助けてやれてないのが困るんだ」
    「……つかさくん……」

    「オレにできることなら何だってする。
     どうしてほしいか教えてくれ。
     類の飼い主になった日から、
     オレは一生お前の面倒を見ると決めたんだ」

     それに、今のオレは、 ……まで言い出せなかった己の根性のなさに呆れるが、幸いそれでも類の硬い心の殻は融かせたようだ。自信なさげに手をさし伸ばされたので、強く握り返してやった。

    「つかさ…くん…」
    「気持ちが落ち着いたら、またピアスをつけてくれないか?


    オレは、類の素直な気持ちが知りたい」
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